空き家を民泊にする費用はいくら?建物の状態別の相場と回収の判断基準

空き家を民泊にする費用はいくら?建物の状態別の相場と回収の判断基準

相続した実家や使わなくなった空き家を、民泊として活用できないかとお考えの方も多いのではないでしょうか。

物件をすでに所有している場合でも、空き家を民泊として開業するには、建物の調査や改修、消防設備、家具・家電などの費用がかかります。

開業総額は、状態のよい空き家なら150万~350万円程度、水回りや内装の改修が必要なら300万~700万円程度が目安です。耐震・構造補強まで必要な場合は、1,000万円を超えることもあります。

この記事では、空き家を民泊にするための初期費用とランニングコストを整理し、建物の状態別の費用相場や、投資を回収できるか判断する方法を解説します。

なお、民泊活用のメリットと注意点については「空き家を民泊に活用するメリット・デメリット」で詳しく解説しています。

目次
  1. 建物の状態別に見る改修費用の目安
    1. 状態のよい空き家を最低限整備するケース
    2. 水回りと内装の改修が必要なケース
    3. 耐震・断熱・構造補強まで必要なケース
    4. 改修費が高額になりやすい空き家の特徴
  2. 工事前に確認したい建物・法令・消防の条件
    1. 建物調査と建築関係書類を確認する
    2. 用途地域・自治体条例・運営制度を確認する
    3. 消防設備・用途変更・申請にかかる費用
  3. 家具家電などの開業準備費とランニングコスト
    1. 家具家電・外構・集客にかかる開業準備費
    2. 開業後にかかるランニングコスト
  4. 費用を抑える方法と補助金の活用
    1. 法令上必要な工事を優先する
    2. 補助金・支援制度を確認する
    3. 複数社から見積もりを取る
  5. 空き家民泊の費用を回収できるか計算する方法
    1. 売上ではなく利益から回収期間を計算する
    2. 好調時・通常時・低稼働時で試算する
    3. 改修費をかけても採算が合わない空き家の特徴
  6. 新規開業・既存民泊の購入・民泊売却を比較する
    1. 新規開業と、営業実績のある民泊の購入の違い
    2. 運営中の空き家民泊は事業として売却できる
  7. 空き家民泊の費用に関するよくある質問
    1. 空き家を100万円以下で民泊にできますか?
    2. 築40年以上の空き家でも民泊にできますか?
    3. 空き家の改修に補助金は使えますか?
    4. 消防設備にはいくらかかりますか?
    5. 改修するより既存民泊を買ったほうが安いですか?

空き家を民泊にする費用は150万~700万円程度が目安

すでに所有している空き家を民泊にする場合の開業費用は、大体150万~700万円が目安です。

ただし、建物の劣化が進んでいる場合や、耐震・構造補強、屋根、外壁、配管などの工事が必要な場合は、1,000万円を超えることもあります。

建物の状態別に整理すると、次のようになります。

主な工事改修費開業総額
築浅・直前まで居住清掃、部分補修、設備確認50万~150万円150万~350万円
水回り・内装に劣化水回り交換、床・クロスなど200万~500万円300万~700万円
構造・屋根・配管に劣化耐震、構造、外装、配管など500万~2,000万円600万円以上

※物件をすでに所有している場合の目安です。建物の規模、地域、定員、工事範囲、運営制度などによって変動します。

初期費用は、主に次の5項目に分けられます。

費用の目安主な変動要因必須性
建物調査費5万~12万円建物の規模、床下・小屋裏を含むか任意・推奨
改修・リフォーム費50万~2,000万円築年数、劣化状況、工事範囲物件による
消防・建築・申請費20万~60万円程度から運営制度、面積、階数、必要設備内容により異なる
家具家電・開業準備費30万~60万円程度から定員、部屋数、残置物や外構の状態原則必要
運転資金固定費の3~6か月分稼働が安定するまでの期間任意・推奨

消防設備工事や建築士による図面作成などが必要な場合は、上記の目安を超えることがあります。

また、採算を判断する際は、開業前の初期費用だけでなく、開業後のランニングコストも含めて計算することが大切です。

なお、この記事の相場は、すでに所有・相続している空き家を活用する場合を想定しています。空き家を新たに購入する場合は、物件価格のほか、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、融資関連費用なども総投資額に含めてください。

ご所有の空き家がどの費用帯に当てはまるか分からない場合は、建物の状態だけでなく、地域の規制や想定売上も含めて判断する必要があります。

建物の状態別に見る改修費用の目安

空き家の改修費は、築年数だけで決まるものではありません。

放置されていた期間や雨漏りの有無、配管・電気設備の状態、過去の修繕履歴などによって、必要な工事が変わります。

ここからは、空き家の状態を3段階に分け、必要になる工事と改修費の目安を詳しく見ていきます。

民泊全般の初期費用については「民泊を始める際の初期費用はいくらくらい?」もあわせてご覧ください。

状態のよい空き家を最低限整備するケース

築年数が浅い、放置されていた期間が短い、直前まで人が住んでいたといった空き家が、このケースに当てはまります。

主な作業は、次のとおりです。

  • ハウスクリーニング
  • 壁紙や畳などの部分補修
  • 給湯器やエアコンの動作確認
  • 照明やコンセントの確認
  • 鍵や防犯設備の交換
  • 不具合のある設備の部分交換

改修費の目安は、50万~150万円程度です。

建物や設備に大きな問題がなければ、開業時は必要最低限の工事にとどめ、収益を確認しながら家具や内装を充実させていく方法もあります。

ただし、見た目がきれいでも、給排水管、電気配線、雨漏りなどに問題が隠れている可能性があります。工事を決める前に、一度は専門家による建物調査を受けておくと安心です。

水回りと内装の改修が必要なケース

キッチン、浴室、洗面所、トイレの交換に加えて、クロスや床の張り替えを行う場合がこのケースに該当します。

主な工事は、次のとおりです。

  • キッチン、浴室、洗面台、トイレの交換
  • 給湯器や換気設備の更新
  • クロスや床の張り替え
  • 畳やふすまの交換
  • 照明やコンセントの増設
  • エアコンの新設・交換

改修費は、200万~500万円程度が目安です。

水回り4点の交換と内装工事を同時に行う場合は、工事範囲によって500万円前後になることもあります。

水回りの清潔さや使いやすさは、宿泊者の口コミにも影響しやすい部分です。見た目だけでなく、シャワーの水圧、給湯能力、換気、排水の状態なども確認しましょう。 

耐震・断熱・構造補強まで必要なケース

築年数が古く、構造、屋根、外壁、給排水管、電気配線などに大規模な工事が必要な建物が該当します。

特に、1981年6月1日より前の基準で建築確認を受けた可能性がある建物は、耐震性の確認が重要です。建築年だけでは判断できないため、確認済証などの建築関係書類も調べましょう。

主な工事は、次のとおりです。

  • 耐震診断・耐震補強
  • 柱、梁、基礎などの構造補修
  • 断熱工事
  • 屋根・外壁工事
  • 給排水管の更新
  • 電気配線や分電盤の更新
  • 間取り変更
  • シロアリ被害の補修

費用は500万円から2,000万円程度が目安で、延床面積30坪程度の戸建てであれば800万円から1,500万円ほどかかることもあります。

工期が3~4か月以上になる場合は、その間に発生する固定資産税、保険料、借入返済なども資金計画に含めておきましょう。 

改修費が高額になりやすい空き家の特徴

次の項目に多く当てはまるほど、改修費が大きくなりやすい傾向があります。

  • 築40年以上が経過している
  • 5年以上、人が住んでいない
  • 雨漏りの跡や床のたわみがある
  • シロアリ被害が疑われる
  • 給排水管や電気配線が古い
  • 屋根や外壁に大きな劣化がある
  • 3階建て、または地下がある
  • 延床面積が大きい
  • 前面道路が狭く、工事車両が入りにくい
  • 建築関係書類が残っていない
  • 増築部分の履歴が確認できない

自分の物件がどの段階に近いかを見極めることで、おおよその予算の見当がつけやすくなります

判断がつかない場合は、リフォーム業者へ直接見積もりを依頼する前に、建築士などへ建物の状態を確認してもらうことをおすすめします。

工事前に確認したい建物・法令・消防の条件

空き家の民泊化では、改修の見積もりを取る前に、建物の状態と法的な適合性を調べる工程が欠かせません。

この確認をせずに工事を始めると、途中で想定外の補修費が発生したり、完成後に民泊として営業できないことが判明したりするおそれがあります。

ここでは、以下の3点について解説します。

  • 建物調査と建築関係書類を確認する
  • 用途地域・自治体条例・運営制度を確認する
  • 消防設備・用途変更・申請にかかる費用

建物調査と建築関係書類を確認する

建物調査では、主に次の項目を確認します。

専門の調査員による建物状況調査であれば、一戸建ての基本調査で5万円から7万円程度、床下から小屋裏まで含む詳しい調査では9万円から12万円程度が相場とされています。

建物の規模や調査内容によって費用は異なるため、事前に調査範囲を確認してください。

あわせて、次の建築関係書類が残っているか確認しましょう。

書類がないからといって直ちに民泊にできないとは限りません。

ただし、建物の適法性や現況を確認するために建築士などの調査が必要となり、追加の費用や時間がかかる可能性があります。 

用途地域・自治体条例・運営制度を確認する

民泊を営めるかどうかは建物の状態だけで決まるものではなく、立地と運営制度によっても変わります。

民泊の主な運営制度は、次の3つです。

運営制度 営業日数 主な特徴 
住宅宿泊事業法 年間180日以内 届出制。自治体条例による追加制限に注意
旅館業法 原則として通年営業が可能保健所の許可が必要。建築・消防条件の確認が重要
特区民泊 特区内で運営自治体の認定が必要。対象地域や最低宿泊日数などの条件あり

住宅宿泊事業法で運営する場合は、年間180日以内という上限があります。自治体によっては、条例により営業できる曜日や期間がさらに制限されていることもあります。 

一方、旅館業法による運営は通年営業を目指せますが、用途地域、建築基準、消防設備、保健所の施設基準などを確認しなければなりません。

工事前に、次の点を調べておきましょう。

  • 用途地域
  • 自治体の上乗せ条例
  • 営業可能な曜日・日数
  • 採用できる運営制度
  • 近隣説明の要否
  • ごみ処理や騒音対策に関する地域ルール
  • マンションの場合は管理規約

地域ごとの規制は、自治体が一次情報です。観光庁の「民泊制度ポータルサイト」とあわせて、自治体、保健所、建築指導課などへ確認してください。

消防設備・用途変更・申請にかかる費用

空き家を民泊として使う際に必要となる可能性がある設備や手続きは、次のとおりです。

必要な消防設備は、家主が不在か居住するか、宿泊室の床面積、階数、建物の構造といった火災危険性に応じて判定されます。

たとえば、宿泊室が50平方メートルを超える場合や家主不在型の場合は旅館・ホテルと同じ区分となり、消火器、自動火災報知設備、誘導灯などの設置が求められます。

詳細は、総務省消防庁の「民泊における消防法令上の取り扱い等」で確認できます。

用途変更については、建築基準法第87条により、変更後の用途が特殊建築物にあたり、かつ変更部分の床面積が200平方メートルを超える場合に確認申請が必要です。

いずれの判断も個別の条件によって変わりますので、着工前に所轄の消防署、建築指導課、保健所へ相談することをおすすめします。

申請を専門家に依頼する場合の費用については「民泊の申請代行の費用はいくら?行政書士に依頼するメリットや注意点」で詳しく解説しています。

家具家電などの開業準備費とランニングコスト

改修工事が終わっても、家具家電の購入や外構の整備といった開業準備の費用が発生します。

さらに開業後は清掃費や運営代行費が毎月かかるため、初期費用だけで採算を判断してしまうと計画が狂う原因になります。

ここでは、以下の2点をお伝えします。

  • 家具家電・外構・集客にかかる開業準備費
  • 開業後にかかるランニングコスト

家具家電・外構・集客にかかる開業準備費

開業前にそろえる必要がある主な項目は、次のとおりです。

小規模な戸建ての場合、家具家電はすべて新品でそろえると30万円から40万円程度かかりますが、中古品を活用すれば費用を抑えることも可能です。

これにリネンや清掃用具を加えると、5万円程度が上乗せされると考えておきましょう。

空き家では、家具家電以外にも次の費用が発生することがあります。 

  • 残置物の撤去
  • 庭木の剪定
  • 雑草の除去
  • 駐車場の整備
  • 塀や門扉の補修
  • 害虫・害獣対策

特に建物の外観は予約サイトの写真に写り込むため、その整備は集客に直結します。

開業後にかかるランニングコスト

開業後の費用は、稼働に比例して増える変動費と、予約の有無にかかわらず発生する固定費がかかります。

ランニングコストの内訳

区分項目費用の目安
変動費清掃・リネン交換1回4,000〜8,000円程度
変動費光熱費月2万〜5万円
変動費消耗品・アメニティ月5,000〜10,000円程度
変動費OTA手数料売上に応じて変動
変動費売上連動型の運営代行費売上の15~20%程度から 
固定費通信費月3,000〜5,000円程度
固定費月額固定型の管理費 委託範囲により異なる
固定費保険料年25,000〜50,000円
固定費システム利用料導入サービスにより異なる
固定費消防設備点検費設備の種類・規模により異なる 
固定費固定資産税・借入返済物件ごとに異なる 
積立修繕費建物の状態に応じて設定

小規模な戸建てでは、借入返済を除いて月5万円から15万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

ただし、清掃回数、稼働率、運営代行の範囲、宿泊定員などによって大きく変動します。売上の多い月ほど、OTA手数料や清掃費、運営代行費も増える点に注意してください。 

遠方にある空き家の場合、宿泊者の滞在中に家主が不在となる「家主不在型」に該当することがほとんどです。

住宅宿泊事業法第11条第1項では、家主不在型の場合に住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託することが義務づけられています。

しかも委託する場合は管理業務の全部を委託することとされており、一部だけを自分で行うことは想定されていません。

詳細は、観光庁の「管理業務の委託について」をご確認ください。

委託先を比較する際は、手数料率だけでなく、次の業務が含まれているか確認しましょう。 

  • 予約管理
  • 宿泊者対応
  • 緊急時対応
  • 清掃手配
  • 口コミ対応
  • 価格調整
  • 消耗品管理
  • 行政への定期報告

料率が低くても対応範囲が狭ければ、別途発注する費用や、自分で担う業務が増える可能性があります。

費用を抑える方法と補助金の活用

改修費は、工事の優先順位を整理することで抑えられる部分があります。

あわせて補助金を使える可能性もありますが、着工前の申請が条件になる制度が多いため、工事のスケジュールと合わせて確認してください。

法令上必要な工事を優先する

改修工事は、次の2種類に分けて考えましょう。

  • 開業に必要な工事
  • 宿泊者の満足度やデザイン性を高める工事

消防設備、安全対策、構造補修などは、開業や安全確保のために優先すべき工事です。

一方、内装デザイン、家具のグレード、外構の演出などは、予算に応じて段階的に進められる場合があります。

ただし、水回りの清潔感、寝具の快適さ、空調、Wi-Fiなどは口コミに影響しやすいため、単純に費用を削ればよいわけではありません。

「法令・安全」「宿泊者の快適性」「見た目」の順に優先順位をつけると判断しやすくなります。

補助金・支援制度を確認する

空き家の改修に使える補助金と、民泊事業として使える補助金があり、条件が合えば費用の一部を軽減できます。

対象になるかどうかは、建物の条件、工事の内容、施工業者の要件、対象地域といった複数の条件から判断されます。

特に注意していただきたいのが、申請のタイミングです。

多くの制度では工事の契約や着工よりも前に申請し、交付決定を受けることが条件になっているため、工事を始めてから申請しても対象外になる場合があります。

また、年度ごとに予算の上限が設けられており、受付期間内であっても早期に締め切られることがあります。

制度の内容は自治体と年度によって異なりますので、必ず自治体の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

利用できる補助金の種類については「民泊に使える補助金6選!空き家のリフォームに使える補助金まとめ」で詳しく解説しています。

複数社から見積もりを取る

改修工事は、2~3社から見積もりを取り、金額と工事内容を比較しましょう。

比較するときは、総額だけでなく、次の点も確認してください。

  • 工事範囲
  • 使用する設備・材料
  • 追加費用が発生する条件
  • 民泊・宿泊施設の施工実績
  • 消防・建築条件への理解
  • 工期
  • 保証内容

安い見積もりであっても、必要な工事が含まれていなければ、着工後に追加費用が発生する可能性があります。

空き家民泊の費用を回収できるか計算する方法

投資回収の判断は売上ではなく、経費を差し引いた利益をもとに行う必要があります。

稼働率と単価が想定を下回っても収支が成立するかを確認し、採算が合わない場合には新規開業以外の選択肢も検討しましょう。

売上ではなく利益から回収期間を計算する

空き家を民泊にするか判断するときは、売上ではなく、経費を差し引いた利益をもとに回収期間を計算します。

基本的な計算式は、次のとおりです。

たとえば、初期費用が500万円、月間売上が35万円、運営経費が25万円の場合、月間営業利益は10万円です。

この場合の単純な回収期間は、次のようになります。

およそ4年2か月で初期費用を回収する計算です。

ただし、実際には税金、突発的な修繕、設備の交換、借入利息なども発生します。単純計算の結果だけでなく、余裕を持った資金計画を立ててください。

好調時・通常時・低稼働時で試算する

収支計画は、好調時だけでなく、通常時と低稼働時も計算しましょう。

月間売上月間経費月間営業利益500万円の回収期間
好調時45万円30万円15万円約34か月
通常時35万円25万円10万円50か月
低稼働時22万円20万円2万円250か月

※説明用の試算です。実際の売上・経費を保証するものではありません。

住宅宿泊事業法で運営する場合、人を宿泊させられる日数は年間180日以内です。自治体条例による追加制限がある地域では、さらに営業可能日数が少なくなることもあります。

周辺施設の高い稼働率だけを参考にせず、低稼働時でも固定費を支払えるか確認しましょう。

改修費をかけても採算が合わない空き家の特徴

次のような条件が重なる場合には、かけた費用を回収できない可能性があります。

これらに当てはまる場合でも、空き家の活用方法は民泊だけではありません。

賃貸として貸し出す、売却する、解体して土地として活用するといった選択肢もありますので、その空き家にとって収益性の高い方法を選ぶことが大切です。

エリア別の収益性については「田舎で民泊経営は儲かる?」もあわせてご覧ください。 

新規開業・既存民泊の購入・民泊売却を比較する

空き家の改修費が高額になる場合は、新規開業以外の選択肢も費用面で比較しておくと判断しやすくなります。

具体的には、すでに営業実績のある民泊を購入する方法と、運営中の民泊を事業として売却する方法があります。

ここでは、以下の2点について解説します。

  • 新規開業と、営業実績のある民泊の購入の違い
  • 運営中の空き家民泊は事業として売却できる

新規開業と、営業実績のある民泊の購入の違い

空き家から新規開業する場合と、既存の民泊を購入する場合の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目空き家から新規開業既存民泊の購入
初期費用改修・消防・申請費物件・営業権等の取得費
開業期間調査・工事・申請が必要短縮できる可能性
収益予測周辺相場から予測過去実績を確認可能
自由度高い既存設備の制約あり
主なリスク追加工事・開業遅延業績・修繕・契約引継ぎ

新規開業は改修費と申請の手間がかかる一方で、間取りや内装を自分の狙うターゲットに合わせて設計できる自由度があります

これに対して、既存民泊の購入は初期の手間が少なく、過去の稼働率や売上という実績値をもとに収益を判断できる点が特徴です。

ただし、民泊の許認可は制度ごとに引き継ぎの可否が異なり、購入後に自分で届出や許可を取得しなければならない場合もあります。

どちらが適しているかは物件と目的によって変わりますので、改修費の見積もりが想定を上回った段階で、比較対象として検討してみてください。

取引の相場については「民泊M&Aの相場」で解説しています。

運営中の空き家民泊は事業として売却できる

すでに空き家を民泊として運営している場合には、売却という出口も選択肢に入ります。

民泊は、物件、家具、設備、営業権、運営実績などを含めて、ひとつの事業としてまとめて売却できる可能性があるためです。

買い手に評価されやすいのは、次のような項目です。

  • 売上・営業利益
  • 稼働率・平均宿泊単価
  • 口コミ
  • 許認可
  • 修繕履歴
  • 清掃・運営体制
  • 物件契約の引継ぎ可否

注意していただきたいのは、改修費をかけた分だけ高く売れるとは限らないという点です。

買い手が重視するのは、購入した後に得られる利益と、追加で必要になる投資額だからです。

また許認可、賃貸借契約、OTAアカウント、既存の予約などは、そのまま引き継げない場合がありますので、売買の前に確認しておく必要があります。

譲渡の具体的な進め方については「民泊物件の譲渡・営業権売却」で解説しています。

空き家民泊の費用に関するよくある質問

空き家民泊の費用について、よく寄せられる質問に回答しました。

空き家を100万円以下で民泊にできますか?

建物の状態がよく、大規模な改修や消防設備工事が不要な場合は、改修費だけなら100万円以下に収まる可能性があります。

ただし、家具家電、申請、消防、写真撮影、運転資金などを含めた開業総額では、100万円を超えるケースが一般的です。

築40年以上の空き家でも民泊にできますか?

建物の状態と法令への適合性によって判断が分かれます。

耐震、構造、配管、消防設備、建築関係書類の状況を確認したうえで、改修費と回収期間を試算してみてください。

空き家の改修に補助金は使えますか?

自治体や年度によって、利用できる可能性があります。

ただし、着工前の申請が条件になっている制度が多いため、工事を始める前に必ず確認してください。

制度は年度ごとに変わりますので、最新の情報は自治体の公式サイトでご確認ください。

消防設備にはいくらかかりますか?

必要な設備は、家主の在・不在、宿泊室の面積、階数、建物構造などによって異なります。

小規模な戸建てでも数十万円かかることがあり、自動火災報知設備や誘導灯などの工事が増えると、それ以上になる可能性があります。

正確な金額を出すには、所轄消防署への事前相談と、消防設備業者の見積もりが必要です。

改修するより既存民泊を買ったほうが安いですか?

物件によって異なりますので、総投資額で比較することをおすすめします

新規開業にかかる費用と、既存民泊の譲渡代金に追加修繕費と運転資金を加えた金額を並べて比べてみてください。

譲渡代金だけを見て比較すると、購入した後に必要になる費用を見落としてしまうおそれがあります。

空き家を民泊にする費用まとめ

空き家を民泊にする費用は建物の状態によって大きく変わるため、一律の相場から判断することはできません

建物の状態がよければ150万~350万円程度で開業できる可能性がありますが、水回りや内装の改修が必要な場合は300万~700万円程度、耐震・構造補強まで必要な場合は1,000万円を超えることもあります。 

見積もりを取る前に建物調査と法的な適合性の確認を行うことで、着工後の追加費用や計画の頓挫を防げます。

また、採算の判断は初期費用だけでなく、ランニングコストを含めた利益ベースで行うようにしてください。

Stay&では、空き家を民泊にするための改修・開業・運営だけでなく、既存民泊の購入や、運営中の民泊事業・営業権の売却についてもご相談いただけます。

総投資額と収益性を比較したうえで、お持ちの空き家に適した活用方法をご提案いたします。