賃貸物件で民泊を始めるには?物件探しの方法や費用など解説
「民泊を始めてみたいけれど、賃貸物件でもできるの?」
と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、賃貸物件でも条件を満たせば民泊運営が可能です。
ただし、大家さんの許可や法的な手続き、物件選びのポイントなど、事前に押さえておくべき項目がいくつかあります。
この記事では、賃貸で民泊を始めるための条件から物件の探し方、費用の目安や運営のコツまで、初心者の方でも分かりやすく丁寧に解説します。
目次
賃貸物件で民泊を始めるための条件
まずは「賃貸物件で民泊を始めるための条件」について説明します。
賃貸物件で民泊を行うには、法律や契約のルールを守る必要があります。
準備をせずに始めてしまうとトラブルになりやすいため、事前に必要な条件をしっかり整理しておくことが大切です。
条件①:大家(オーナー)から書面による許可を得る
賃貸物件で民泊を始めるには、まず「大家さん(オーナー)から書面での許可」をもらうことが必要です。
民泊は、通常の「住居用」とは違う使い方になるため、勝手に始めると契約違反となり、退去させられたり、損害賠償を求められたりすることがあります。
トラブルを防ぐためにも、民泊をしたい理由や使い方をきちんと説明し、必ず書面で許可をもらいましょう。
条件②:分譲マンションの管理規約を確認し管理組合に承認を得る
物件が分譲マンションの一室である場合は、大家の許可に加えて、管理規約の確認も必要です。
多くのマンションでは、民泊を禁止または制限しているケースがあり、規約違反は近隣トラブルや強制退去につながる恐れもあります。
管理組合に確認し、必要があれば承認を得てから民泊を始めるようにしましょう。
条件③:住宅宿泊事業法または旅館業法に基づく届出・許可を取得する
民泊を合法的に運営するには、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の届出、もしくは「旅館業法」に基づく営業許可の取得が必要です。
住宅宿泊事業法は180日以内の営業など条件が緩やかですが、家主不在型は管理業者の選任が必要です。
一方、旅館業法は制限がない反面、設備基準が厳しいため、用途に応じた選択が求められます。
条件④:消防法・建築基準法などの法令を遵守する
民泊を始める際には、消防法や建築基準法といった安全に関する法令も遵守しなければなりません。
たとえば、火災報知機や非常灯などの設置が求められる場合があります。
自治体によって設備基準や手続きが異なるため、事前に消防署や保健所に相談し、必要な安全対策を講じることが大切です。
条件⑤:近隣住民への十分な配慮を行う
民泊では不特定多数の宿泊者が出入りするため、近所の人との関係にも気をつける必要があります。
特に、騒音・ゴミの出し方・共用スペースの使い方などでトラブルが起きやすいです。
そのため、あらかじめルールを決めて、宿泊者にもわかりやすく伝えることが大切です。
また、苦情があったときに対応できる体制を作っておくと、スムーズに運営できます。
条件⑥:保険に加入し、必要な設備と管理体制を整える
民泊では、宿泊者がケガをしたり、設備が壊れたりするなど、思わぬトラブルに備えることが大切です。
「民泊専用の保険」に入っておけば、そうしたトラブルでの損害賠償のリスクを減らせます。
また、鍵の受け渡しや清掃など、運営の準備もしっかりしておきましょう。
自分だけで対応するのが大変なときは、民泊の運営を代行してくれるサービス(民泊運営代行業者)を使うのもおすすめです。
賃貸物件で民泊を始める6つのステップ

ここでは、賃貸物件で民泊を始める6つのステップをご紹介します。
物件探しから届出、準備、そして集客まで、順を追って対応していきましょう。
① 転貸・民泊可能な物件を見つける
まず最初にやるべきことは、「民泊ができる物件」を見つけることです。
賃貸物件の場合、「又貸し禁止」や「民泊禁止」と書かれていると、民泊の運営はできません。大家さんから書面で許可をもらう必要があります。
スムーズに探すためには、不動産会社に「民泊ができる物件を探しています」とはっきり伝えることが大切です。
また、すでに運営されている民泊を買い取ってスタートする方法(M&A)もあります。
売りに出ている民泊物件を探したいときは、「民泊&」などの専用サイトを使うと便利です。
② 消防設備や安全対策の確認と設置
民泊では、宿泊者の安全を守ることがとても大切です。
場所や建物のタイプによっては、消防法により、火災報知機・消火器・非常灯などを設置しなければならないことがあります。
必要な設備は物件によって違うので、事前に近くの消防署に相談して、安全対策をしっかり整えましょう。
もし決まりを守らないと、営業停止になることもあります。
③ 保健所・自治体に届出を提出
民泊を合法的に運営するには、住宅宿泊事業法に基づく届出を管轄の自治体へ提出する必要があります。
必要書類や手続き内容は自治体ごとに異なるため、事前に保健所などで確認しましょう。
家主不在型の民泊では、管理業者との契約が義務づけられています。書類準備や申請には数週間かかることもあります。
④ 家具・家電・アメニティを整備
宿泊者が快適に過ごせるよう、ベッド・テーブル・冷蔵庫・エアコンなどの基本的な家具や家電を設置しましょう。
また、タオル、シャンプー、Wi-Fi、ティッシュなどのアメニティ類も必要です。
ホテルのような清潔感を意識して準備することで、宿泊者の満足度が大きく変わります。
⑤ 写真撮影&内装を魅力的に仕上げる
民泊の印象は、写真と内装で大きく変わります。
明るい自然光の中で撮影し、部屋が広くて清潔に見えるように工夫しましょう。
観葉植物やアートを置いて、おしゃれな雰囲気をつくるのも効果的です。
プロのカメラマンに撮影を頼むと、予約率がぐっと上がることもあります。
第一印象がとても大切なので、しっかり仕上げましょう。
⑥ Airbnbなどの予約サイトに登録して集客開始
すべての準備が整ったら、いよいよAirbnbやbooking.comなどの予約サイトに登録し、集客をスタートします。
魅力的なタイトルや説明文、適切な価格設定を意識し、レビューが集まるまではキャンペーン価格での運用も検討しましょう。
丁寧な対応とクチコミの管理がリピーター獲得につながります。
民泊向け賃貸物件の探し方

民泊を始めたいと思っても、どんな物件が向いているのか分からない方も多いでしょう。
ここでは、民泊向け賃貸物件の探し方をご紹介します。
民泊物件専門サイトやアカウントで探す
「民泊物件.com」「Airbnb対応可の賃貸」など、民泊に特化した物件を扱う専門サイトがあります。
これらのサイトでは、あらかじめ「民泊可能」「転貸OK」と明記されている物件が掲載されており、交渉の手間を減らせます。
条件を絞って検索できるため、初心者にも使いやすいツールです。
地元の不動産会社に相談して探す
地域密着型の不動産会社は、インターネットに掲載されていない優良物件を紹介してくれることがあります。
また、大家さんとの関係が深いことも多く、民泊利用の交渉を代行してもらえる可能性もあります。
地域の条例や物件の特性にも詳しいため、初心者はまず相談してみるのがおすすめです。
物件選びのチェックポイント(立地・家賃・間取り)
民泊物件を選ぶ際は、通常の賃貸とは異なる視点が求められます。
ゲストの満足度や利便性、収益性に直結する「立地」「家賃」「間取り」は特に重要なポイントです。
さらに、民泊を行う地域がそもそも住宅宿泊事業に適しているかどうか、規制の有無も確認しておく必要があります。
住宅用途地域やマンション規約の確認も重要
民泊を合法に運営するには、建物があるエリアの「用途地域」が民泊に対応しているかを確認しましょう。住居専用地域では営業できない場合もあります。
また、マンションの管理規約で民泊が禁止されていれば、たとえ大家の許可があっても運営できません。
事前の確認がトラブル回避につながります。
賃貸で民泊を始める際にかかる費用

ここでは、賃貸で民泊を始める際にかかる費用を見ていきましょう。
初期費用|契約金・設備・内装などを準備する
民泊の開始には、敷金・礼金・仲介手数料などの契約関連費用に加え、ベッドや冷蔵庫、テレビなどの設備、内装の整備費が必要です。
アメニティやWi-Fi環境の整備もゲスト満足度に直結します。
物件の条件や部屋数にもよりますが、初期費用として20〜100万円程度を見積もっておくと安心です。
ランニングコスト|家賃・光熱費・清掃費などを見積もる
民泊を運営するには、毎月いろいろな費用がかかります。
- 家賃
- 電気・水道・ガスなどの光熱費
- インターネット代
- 清掃の外注費
- リネン(シーツ・タオルなど)の交換費用
- 民泊サイトへの掲載手数料
- 消耗品の補充費(トイレットペーパー、洗剤など)
毎月のコストをしっかり把握し、稼働率と収益のバランスを考えて運営することが大切です。
費用を抑えるコツと予算の考え方を実践する
初期費用を抑えるには、
- 家具付き物件を選ぶ
- 中古の家具家電を活用する
- 内装をDIYで工夫する
などの方法があります。
ランニングコストは、
- 清掃を自分で行う
- 長期割引で光熱費を安く抑える
といった工夫も有効です。
利益を出すためには「半年分の運転資金を確保する」など、計画的な予算管理が欠かせません。
民泊を成功させるための集客と運営のコツ

民泊の成功は、単に部屋を貸すだけではなく、ゲストに選ばれ、満足してもらうための「魅せ方」と「もてなし」が鍵になります。
写真や説明文の工夫、快適な設備、丁寧なやりとり、レビュー対応など、細かな積み重ねが評価につながり、安定した運営を実現します。
プロの写真を撮影し魅力的な掲載文を作成する
ゲストが予約を決める最大の要素は「写真」です。
自然光を活かし、広く見せる構図で清潔感を伝えることが大切です。
説明文では部屋の特徴、周辺施設、チェックイン方法などをわかりやすく記載し、安心感を与える内容にしましょう。
プロのカメラマンに依頼することで予約率が大きく向上します。
設備を充実させ接客対応でゲスト満足度を高める
ゲストが快適に過ごすためには、Wi-Fi、冷暖房、清潔な寝具など、基本的な設備をしっかり整えることが大切です。
チェックインの案内はわかりやすく丁寧に行い、もしもの時にすぐ対応できる体制も用意しておきましょう。
ちょっとした気配りや、スムーズな連絡があると、良いレビューやリピートにつながります。
レビュー・クチコミを管理し改善に活かす
ゲストからのレビューは、他の宿泊希望者にとって非常に参考になります。
良いレビューは信頼を高め、悪いレビューも改善に活かすことで次の予約につなげられます。
返信コメントでは誠実に対応し、改善点があればすぐに対応する姿勢を見せることで、運営者としての信頼感を高めましょう。
民泊運営代行サービスを適切に活用する
自分一人での運営が難しい場合は、民泊運営代行サービスを活用すると安心です。
清掃、鍵の受け渡し、問い合わせ対応などを代行してくれるため、時間と手間を省けます。
費用対効果やサービス内容を比較し、信頼できる業者を選びましょう。
副業として始める方や複数物件を運営する場合にも有効です。
賃貸物件で民泊を始める際の注意点

賃貸物件で民泊を運営するには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。
ここでは、賃貸物件で民泊を始める際の注意点をいくつかご紹介します。
賃貸契約の用途制限と将来の用途変更リスクを把握する
多くの賃貸契約では「住居用」としての用途が前提となっており、民泊利用は契約違反と見なされる可能性があります。
仮に大家さんから一時的に許可を得た場合でも、将来的に民泊を禁止されるリスクもあります。
契約内容の用途制限をよく確認し、可能であれば契約書に用途の変更に関する取り決めを明記しておくのがオススメです。
運営負担(清掃・問い合わせ対応など)を見越して準備する
民泊の運営は想像以上に手間がかかります。
清掃やリネンの準備、ゲストからの問い合わせ対応、チェックインのサポートなど、日常的に対応が必要な業務が多くあります。
これらの作業を自分で行うか、外注するかを事前に決めておくことで、負担やコストをコントロールしやすくなります。
初期費用と継続的な運営コストを見積もる
民泊の収益性を確保するには、初期費用だけでなく月々のランニングコストも含めてしっかりと予算を立てる必要があります。
特に家賃・光熱費・清掃代・保険料などを踏まえて、赤字にならない運営計画を組みましょう。
稼働率の季節変動も考慮した現実的な収支予測が重要です。
宿泊者・近隣住民とのトラブル発生時に備える
宿泊者のマナーや騒音、ゴミ出しなどによって近隣住民とのトラブルが発生することがあります。
- ルールを事前に明確に伝える
- トラブル時の対応マニュアルを用意する
- 緊急連絡先を設けておく
など、問題が起こる前に備えることが大切です。
対応が遅れると信頼を失い、運営継続が難しくなる場合もあります。
損害賠償責任への対応として保険や契約内容を見直す
もし宿泊者や周りの人にケガや損害を与えてしまった場合、運営者がその責任を問われることがあります。
そういったトラブルに備えて、民泊向けの損害保険や火災保険に入っておくと安心です。
また、契約書に「トラブルが起きたときの責任の分け方」を書いておくと、いざという時にスムーズに対応できます。
契約書を再確認し必要な特約を追加する
民泊を行うには、現在の賃貸契約がその運用に対応しているかを再確認する必要があります。
民泊利用を明記した特約や、損害時の取り決め、用途変更に関する合意などを盛り込むことで、後々のトラブルを防げます。
口約束ではなく、文書で明確に取り決めをしておくことが重要です。
賃貸民泊のメリット・デメリットを整理しよう

賃貸物件を活用した民泊は、物件を購入せずに始められるという点で魅力がありますが、一方で契約・法律・近隣対応といった面で注意も必要です。
始める前に、メリットとデメリットの両方をしっかり整理して、自分に合った運営スタイルを見極めましょう。
メリット|初期費用が少なく撤退しやすい
賃貸での民泊運営は、物件購入が不要なため、比較的少ない資金で始められます。
また、事業としてのリスクが大きいと感じた場合にも、契約終了とともにスムーズに撤退できる柔軟性があります。
副業やお試し運営にも向いており、初めて民泊を始める人にとってはハードルが低いのが魅力です。
デメリット|許可・規則のハードルがある
一方で、民泊として使える賃貸物件は限られており、大家の許可、管理規約の確認、法令遵守などの条件が多数あります。
無断で始めると契約違反や損害賠償になるリスクもあります。
また、近隣トラブルのリスクも常につきまとうため、慎重な準備が必要です。
投資・副業としての可能性と限界
民泊は短期で高い収益を期待できる反面、稼働率に左右されやすく、収入が不安定になりがちです。
副業としては魅力的ですが、本業として安定的に成り立たせるには複数物件の運営や代行業者の活用など、スケール戦略が求められます。
小規模運営では限界があることも理解しておきましょう。
【最新情報】民泊市場の動向と今後の展望

コロナ禍からの回復に伴い、民泊市場は再び活気を取り戻しつつあります。
特にインバウンド需要の増加により、都市部や観光地を中心に需要が伸びています。
また、法改正や規制緩和の動きもあり、今後の民泊運営における可能性が広がる一方で、ルールの変化には常に敏感でいる必要があります。
インバウンド復活で注目される民泊市場
コロナ禍で一時停滞していたインバウンド(訪日外国人観光客)は、各国の渡航規制緩和とともに急速に回復しています。
これにより、ホテル不足を補う形で民泊のニーズが再び高まっています。
特に手ごろな価格や地域密着型の宿泊体験を求める訪日客にとって、民泊は魅力的な選択肢となっており、市場の成長が期待されています。
エリア別に見る民泊需要の高い地域
民泊需要が特に高いエリアは、東京・大阪・京都などの大都市圏や観光地です。
加えて、成田・関空といった国際空港の周辺、温泉地や世界遺産の近隣エリアも人気です。
地方でもイベントやフェス開催地では一時的に需要が急増するケースもあります。
地域ごとの特性を見極めた物件選びが成功の鍵になります。
法改正・規制緩和の最新トピック
近年、民泊に関する法制度は大きく変化しています。
住宅宿泊事業法の改正や、旅館業法の手続き簡素化などにより、個人でも民泊を始めやすくなっています。
特に「無人チェックイン」の条件緩和や「用途地域の見直し」などが注目ポイントです。
定期的に自治体や国の最新情報をチェックし、制度の変更に柔軟に対応することが重要です。
まとめ|賃貸から始める民泊は準備がすべて
賃貸物件で民泊を始めるには、法令や契約の確認、物件選び、初期投資、運営体制など、事前準備が非常に重要です。
無許可で始めるとリスクが大きく、トラブルにもなりかねません。
一方で、正しく準備すれば副業や小規模投資として有望な選択肢となります。
まずは1室から、リスクを抑えて着実にスタートしましょう!







