民泊の撤退・廃業手続きの進め方とは?今やるべき判断と具体的手順を徹底解説

民泊の撤退・廃業手続きの進め方とは?今やるべき判断と具体的手順を徹底解説

民泊を続けるべきか、それとも撤退すべきか――迷う方も多いかもしれません。

稼働率の低下や収益の悪化、手間の増加や制度の変化など、民泊を取り巻く環境は少しずつ変わっています。

この記事では、民泊の撤退を考えるときの判断ポイントから、廃業手続きの流れ、さらに撤退後の物件の活用法までをわかりやすく解説します。

初めての方でも順を追って理解できるようにまとめていますので、今後の判断にぜひお役立てください。

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目次
  1. 【結論】民泊を撤退・廃業すべきか?まず知っておくべき判断基準
    1. 撤退・廃業は「赤字化+回復見込みゼロ」の場合に検討を
    2. 家賃・管理費・集客力の3要素が重要な判断軸
    3. 撤退より「一時的な耐久策」で乗り切る選択肢も
    4. M&A仲介業者に買い手を見つけてもらうのもアリ
  2. 民泊を撤退したくなる背景・よくある理由
    1. 民泊新法や180日制限など法制度のハードル
    2. 近隣住民トラブル・管理規約違反
    3. インバウンド減少・収益性の悪化
    4. 清掃やクレーム対応などの運営負荷
  3. 【ステップ別】民泊の撤退・廃業手続きガイド
    1. ① 届出の廃止(住宅宿泊事業の廃業)
    2. ② Airbnb・Booking.com等からの物件掲載削除
    3. ③ 家賃契約や管理会社との解約手続き
    4. ④ 備品・家具の処分や売却方法
    5. ⑤ 法人運営者の場合の事業整理・法人解散手続き
  4. 民泊廃業でやるべき「お金」の整理と注意点
    1. 撤退費用の内訳と相場
    2. 撤退時に発生する税金・損益計算のポイント
    3. 原状回復と退去費用の注意点
  5. 撤退前に検討すべき代替案・リカバリープラン
    1. スペース貸し・テレワーク施設への転用
    2. マンスリー賃貸への切り替え
    3. 帰国者・国内旅行者向けにシフトする
  6. よくある質問(FAQ)
    1. 住宅宿泊事業の届出廃止はどこに申請する?
    2. 民泊廃業に補助金や助成金は使える?
    3. 家具や備品はどう処分するのがベスト?
    4. 撤退せず管理会社を変える選択肢は?

【結論】民泊を撤退・廃業すべきか?まず知っておくべき判断基準

民泊を撤退・廃業すべきかどうかは、「今後の収益見込み」と「運営コスト」のバランスを見て判断することが大切です。

ここでは、撤退を決断する際の基準をわかりやすく整理します。

闇雲に諦める前に、正しい判断材料を持っておきましょう。

撤退・廃業は「赤字化+回復見込みゼロ」の場合に検討を

明確な赤字が続き、今後も改善の見込みがない場合には、民泊からの撤退や廃業を検討すべきです。

特に、家賃やローンの支払いが収益を超えてしまう状況では、無理に続けるほど損失が大きくなります。

まずは現状の数字を整理し、「回復できるか」を冷静に判断しましょう。

家賃・管理費・集客力の3要素が重要な判断軸

撤退を判断する際には「家賃の負担」「管理委託費の割合」「集客ができているか」の3つが重要なポイントです。

例えば、家賃が高額で空室が続いている、または管理会社に支払う手数料が利益を上回っている場合などは、撤退を検討するサインです。

集客面では、複数サイトでの掲載など努力の余地があるかも見極めましょう。

撤退より「一時的な耐久策」で乗り切る選択肢も

すぐに撤退を決めるのではなく、一時的な「耐久策」で乗り切れる場合もあります。

例えば、

  • スペース貸しやマンスリープランへの切り替え
  • 国内需要へのシフトなどで収支改善を狙う

ことが可能です。

撤退は最後の手段と考え、まずは活用できる手をすべて試してみましょう。

M&A仲介業者に買い手を見つけてもらうのもアリ

赤字や撤退が視野に入ったとしても、民泊物件(営業権のみも可)を「売却する」という選択肢もあります。

M&A仲介業者を通じて物件や事業を売ることで、廃業コストを抑えつつ撤退が可能になります。

特に人気エリアの物件や、高レビューがついたAirbnbアカウントなどは、価値があるため売却成功率も高いです。

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民泊物件は譲渡できる?権利のみ売却する方法と流れも解説

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民泊をやめたいと考えたときに気になるのが「これまで整えた民泊の権利は売れるのか?」という点です。 実は、物件そのものを手放さなくても、営業権や運営ノウハウを譲渡する形で売却することが可能です。

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民泊を撤退したくなる背景・よくある理由

民泊を撤退したくなる背景・よくある理由

民泊を続けることに不安や限界を感じている方は少なくありません。

ここでは、実際に撤退を考えるきっかけとなる代表的な理由について、具体的に紹介します。

あなたの状況に当てはまる点がないかチェックしてみましょう。

民泊新法や180日制限など法制度のハードル

民泊新法によって営業日数が年間180日までに制限されたことは、多くの運営者にとって大きな壁となりました。

特に、家賃が高い都市部では、この制限内で利益を出すのが困難になるケースもあります。

さらに、届出手続きの煩雑さや厳格なルールも、撤退を考える理由の一つです。

近隣住民トラブル・管理規約違反

騒音やゴミ出しルール違反などによる近隣住民とのトラブルは、精神的な負担が大きく、撤退を決断するきっかけになりやすい問題です。

また、マンションやアパートの管理規約で民泊が禁止されている場合、続けること自体が法的リスクになります。

こうしたリスクが見えてきた時点で、撤退も選択肢に入れるべきです。

インバウンド減少・収益性の悪化

外国人旅行者の減少や円安の影響で、民泊の利用者が減っている地域もあります。

特に、観光地以外のエリアでは予約が入りにくく、宿泊単価も下がる傾向にあります。

その結果、運営コストを回収できず、撤退を考えざるを得ない状況に追い込まれるケースも増えています。

清掃やクレーム対応などの運営負荷

民泊運営は思った以上に手間がかかります。

清掃や鍵の受け渡し、ゲストからのクレーム対応など、地味ながら継続的に対応が必要です。

管理会社に委託することで負担を軽減できますが、コストがかかるため利益が圧迫されがちです。

運営負担が大きくなりすぎると、継続は困難になります。

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【ステップ別】民泊の撤退・廃業手続きガイド

【ステップ別】民泊の撤退・廃業手続きガイド

民泊を撤退・廃業するには、いくつかのステップを順番に進めていく必要があります。

ここでは、撤退時にやるべき作業をステップ別にわかりやすく解説します。

① 届出の廃止(住宅宿泊事業の廃業)

まず最初に行うべきは、住宅宿泊事業の廃業届の提出です。

これは民泊新法に基づいて届出をしている人が対象で、事業をやめる際は各自治体の窓口またはオンラインで正式に「廃止届出書」を提出する必要があります。

提出しないままだと、継続中とみなされ、行政指導の対象になる恐れがあります。

参考:廃業等届出書(第三号様式) 【PDF版
参考:【記載例】廃業等届出書(第三号様式)

② Airbnb・Booking.com等からの物件掲載削除

次に、AirbnbやBooking.comなどの仲介サイトから物件の掲載を削除しましょう。

掲載を放置すると、ゲストからの予約が入ってしまい、キャンセル対応に追われることになります。

ホスト画面から「非公開設定」または「アカウントの停止・削除」を選ぶだけで簡単に対応可能です。

忘れずにレビュー対応も締めておきましょう。

③ 家賃契約や管理会社との解約手続き

物件を賃貸して運営していた場合は、家主との賃貸契約を解約する必要があります。

一般的には1ヶ月前の解約通知が必要です。

また、民泊管理代行会社と契約している場合も、同様に解約申請を行いましょう。

違約金や解約手数料の有無は契約書の確認が必須です。

なるべく早めの相談がトラブル防止につながります。

④ 備品・家具の処分や売却方法

民泊運営に使っていたベッド・家電・アメニティなどは、処分するか売却する必要があります。

不要なものは粗大ごみとして自治体に依頼し、状態が良いものは「ジモティー」や「メルカリ」で売ると費用を抑えられます。

売却収入は撤退費用の足しにもなります。

まとめて買取してくれる業者を利用するのも便利です。

⑤ 法人運営者の場合の事業整理・法人解散手続き

法人で民泊を運営していた場合は、事業整理や法人解散の手続きも必要です。

運営停止だけでは法人の義務はなくならず、毎年の税務申告や登記が必要になります。

撤退後も事業再開予定がないなら、清算や解散を法的に行いましょう。

税理士や行政書士に相談することで、正確かつスムーズに進められます。

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民泊廃業でやるべき「お金」の整理と注意点

民泊廃業でやるべき「お金」の整理と注意点

民泊を廃業する際には、さまざまな費用や税金、退去時の精算など「お金の整理」が発生します。

後から思わぬ出費やトラブルにならないためにも、撤退前に知っておくべきポイントを事前に把握しておきましょう。

撤退費用の内訳と相場

民泊の撤退には、原状回復費用や契約違約金、家具処分費などがかかります

一般的な1K〜1LDK規模の民泊で、トータル10万〜30万円が目安です。

物件の規模や契約内容により大きく異なるため、事前に見積もりを取り、資金準備をしておくことが大切です。

撤退時に発生する税金・損益計算のポイント

撤退時には、事業に使っていた設備や家具の「減価償却」や、赤字・黒字に応じた税金処理が必要です。

法人の場合は、清算所得に対する法人税も発生します。

確定申告や消費税の申告も忘れずに行いましょう。わからない場合は税理士に相談するのが確実です。

原状回復と退去費用の注意点

賃貸物件で民泊を運営していた場合、退去時には原状回復義務があります

壁紙や床の汚れ、家具の設置による傷などは、借主負担で修繕が必要になるケースが多いです。

契約書の原状回復条項を必ず確認し、トラブルにならないよう事前に管理会社と調整しましょう。

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撤退前に検討すべき代替案・リカバリープラン

撤退前に検討すべき代替案・リカバリープラン

撤退を決断する前に、民泊物件を活かせる他の使い方がないか検討しましょう。

設備や立地条件によっては、別の収益モデルに転用できる可能性があります。

ここでは、すぐに実践できる代替案を3つ紹介します。

スペース貸し・テレワーク施設への転用

民泊物件は、宿泊用だけでなく「スペース貸し」として時間単位で活用する方法もあります。

会議室・撮影スタジオ・テレワークスペースなどに変えれば、180日営業制限の影響を受けずに収益を得ることが可能です。

特に都市部や駅近物件ではニーズが高まっています。

マンスリー賃貸への切り替え

短期宿泊ではなく、1ヶ月単位で貸し出す「マンスリープラン」へ変更することで、安定した収益を得ることができます。

家具付き物件として需要も高く、Airbnbなどのプラットフォームでも長期滞在向けの掲載が可能です。

民泊と違い営業日数の制限もありません。

民泊とマンスリーは併用できる?注意すべき法律や事例も併せて紹介

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民泊の年間180日制限を補いながら、空室リスクを減らして安定的に稼ぎたい そんな方におすすめなのが、民泊とマンスリーマンションの併用運用です。 短期・長期それぞれの宿泊ニーズに応えることで

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帰国者・国内旅行者向けにシフトする

現在は「国内旅行者」や「中長期滞在者」をターゲットとした民泊活用が効果的です。

特に、地方移住を検討する人やワーケーション希望者、単身赴任者の一時的な住まいとしての需要が増えています。

観光だけに依存せず、生活スタイルの多様化に合わせたプラン(長期割引、住民登録可能など)を設計することで、安定的な集客が可能になります。

よくある質問(FAQ)

民泊の撤退や廃業を考える際、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。

ここで紹介する内容を押さえておけば、より安心して撤退や再構築の判断ができるようになります。

住宅宿泊事業の届出廃止はどこに申請する?

住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法)の届出をしていた場合、廃止の申請は「届出を行った自治体」に提出する必要があります

多くは、自治体のWebサイトから書類をダウンロードし、郵送または持参で提出する形です。

オンライン申請に対応している自治体もあるので、事前に確認しましょう。

民泊廃業に補助金や助成金は使える?

民泊の廃業自体に使える補助金は、基本的にありません

ただし、撤退後に物件をテレワーク施設や空き家活用などに転用する場合は、自治体の支援制度が使えることがあります。

また、コロナ以降は観光業支援として補助が出るケースもあるため、まずは自治体や商工会に相談してみるのがおすすめです。

家具や備品はどう処分するのがベスト?

民泊で使っていた家具や備品は、「売却」「譲渡」「廃棄」の3パターンで処分可能です。

状態の良いものはジモティーやメルカリで売却すれば、撤退費用の補填になります。

大量にある場合は、まとめて買取してくれる不用品回収業者やリサイクルショップを活用すると効率的です。

撤退せず管理会社を変える選択肢は?

撤退を考えている理由が「運営の負担」や「収益の悪化」であれば、管理会社を見直すことで改善できることがあります

費用が安く、集客力のある会社に変更することで、利益が回復するケースも少なくありません。

まずは複数の会社から見積もりを取り、しっかり比較してみましょう。

まとめ:撤退か継続か、後悔しない判断をするために

民泊をやめるときは、感情や一時的な赤字だけで決めるのではなく、費用対効果や今後の見通し、代わりの方法があるかどうかをふまえて、慎重に判断することが大切です。

撤退にも手続きや費用がかかるため、冷静に状況を整理し、必要なら専門家に相談しましょう。

「やめる」だけでなく、「形を変える」「売却する」「誰かに任せる」といった選択肢も視野に入れることで、後悔のない決断がしやすくなります。

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