民泊の稼働率の平均は?計算方法やエリア別の平均値

民泊で安定した利益を出すには、「稼働率」がとても大切です。
稼働率とは、どれくらい物件が予約されて実際に使われているかを表す数字で、売上や集客に直接関わってきます。
でも、全国の平均的な稼働率や、地域ごとの違いを正確に知っている人は意外と少ないです。
この記事では、民泊の稼働率の計算方法や全国の平均、地域ごとの特徴までわかりやすく解説します。
目次
民泊の稼働率とは?初心者にもわかる基本解説
稼働率とは、一定期間内に物件が実際に予約・利用された割合のことです。
たとえば1か月のうち20日間宿泊があれば、稼働率は約67%となります。
この数字が高いほど、物件が有効に活用され、収益も上がっている状態と言えます。
逆に稼働率が低い場合は、予約が取れておらず、空室が多いということになり、運営や集客方法の見直しが必要です。
稼働率は民泊経営の「健康状態」を表す大切な指標であり、収益性・人気・競争力に直結します。
民泊初心者こそ、まずこの数字に注目して運営改善を進めることが重要です。
稼働率の計算方法を具体的に解説
稼働率は、「宿泊が実際に行われた日数」を「予約を受け付けていた日数(営業日数)」で割って求めます。
計算式は以下の通りです。
- 稼働率(%)= 宿泊された日数 ÷ 予約可能日数 × 100
たとえば、1か月(30日)のうち20日予約が入った場合、稼働率は「20 ÷ 30 × 100」で66.7%となります。
このように稼働率は、数字で物件の稼働状況を把握できる便利な指標です。
特に複数物件を管理する場合は、運用改善の判断材料として活用されます。
なぜ稼働率が重要なのか?民泊経営における意味
稼働率は、民泊を成功させるためにとても大事なポイントです。
予約がたくさん入り、稼働率が高くなると、売上や利益がアップするだけでなく、宿泊者からのレビューも増えて、さらにお客さんを集めやすくなります。
Airbnbなどの予約サイトでは、レビューの数や稼働の実績が検索順位に影響するので、ネット上でも有利になります。
稼働率が安定するとお金の流れも良くなり、長期的な経営もしやすくなります。
つまり、民泊をうまく運営するには、稼働率をキープして少しずつ改善していくことがとても大切です。
民泊の平均稼働率はどのくらい?エリア・物件別に紹介

民泊の稼働率はエリアや物件のタイプによって大きく異なります。
ここでは、全国平均をはじめ、都市部・地方・季節要因なども含めた稼働率の傾向を詳しく解説します。
全国の平均稼働率
民泊の全国平均稼働率は、一般的に50〜60%程度とされています。
これは、営業日数に対して半分以上が予約で埋まっている状態です。
なお、都市部や人気観光地ではこれを上回ることもあり、70%以上の稼働率を維持する物件も存在します。
一方、地方やアクセスが悪いエリアでは30〜40%にとどまるケースも。
自分の地域と比較することで、改善のヒントが見つかるでしょう。
都市部:マンションタイプの傾向
都市部にあるマンションタイプの民泊は、平均稼働率が60〜70%と高い水準を維持しています。
特に駅から徒歩5分以内などの好立地物件は、ビジネス利用や短期滞在ニーズが高く、週末・平日問わず安定した稼働が期待できます。
また、マンションタイプは設備が整っており、チェックイン対応も効率化しやすい点が魅力です。
初心者にも扱いやすい民泊形態といえるでしょう。
都市部:一軒家タイプの傾向
都市部の一軒家タイプは、家族連れやグループ旅行に人気があり、稼働率は50〜60%程度で推移することが多いです。
特に広さがある物件や、庭・駐車場付きの施設は付加価値が高く、週末の予約が集中しやすい傾向があります。
一方で、清掃や管理の手間がマンションより多く、稼働率を上げるためにはレビューの質や写真の見せ方など、工夫が必要になります。
地方:リゾート物件の稼働状況
地方のリゾート物件は、季節ごとの観光需要に大きく左右されるため、稼働率は年間平均で40〜50%程度が目安です。
ただし、スキー場・ビーチ・温泉地などのエリアでは、ハイシーズンに80〜90%まで跳ね上がることもあります。
オフシーズンの稼働をどう確保するかがカギで、価格戦略や長期滞在プランの導入などが求められます。
地方:古民家や伝統建築物の特徴
古民家や町家などの伝統建築物を使った民泊は、地方でも一定の需要がありますが、平均稼働率は30〜40%とやや低めです。
ただし、外国人観光客や「非日常」体験を求める旅行者には強く刺さり、差別化には非常に有効です。
SNS映えや地域文化との融合など、コンセプトを明確に打ち出すことで、高単価&高稼働を実現している事例も増えています。
季節ごとの稼働率の変動(春夏秋冬)
民泊の稼働率は、季節によって大きく変動します。
たとえば、春(桜シーズン)・夏休み・年末年始は旅行需要が高まり、稼働率は70〜80%に達することもあります。
一方で、1〜2月や梅雨時期などは旅行者が減り、50%以下に落ち込むことも。
年間を通じて安定運営を目指すには、繁忙期に集中して稼働させる戦略や、閑散期向けの長期滞在プランが有効です。
コロナ禍やインバウンド影響による変化
コロナ禍では一時的に民泊の稼働率が大きく下がり、全国平均で20〜30%台に落ち込む時期もありました。
しかし、2023年以降のインバウンド(訪日外国人観光客)の回復により、主要都市では稼働率70%超えの物件も再び増加傾向にあります。
国際イベントやビザ緩和政策も追い風となり、今後の稼働率にもポジティブな影響が見込まれます。
稼働率が高いとどうなる?民泊経営のメリット

稼働率が高い民泊物件は、単に収益が増えるだけでなく、集客力・信頼性・将来価値の面でも大きなメリットがあります。
ここでは、稼働率が高いことで得られる具体的なメリットを4つの視点から解説します。
収益の最大化と利益率向上
稼働率が高いと、収益の最大化が図れます。
1泊あたりの収入が一定でも、稼働日数が増えることで売上は大きく伸びます。
また、連泊が多くなると1回あたりの清掃や管理コストが相対的に下がるため、利益率も向上します。
特に閑散期でも一定の稼働を確保できれば、年間を通じて安定した収入が見込めるため、経営の計画性も高まります。
レビュー増加による集客効果
稼働率が高ければ、それだけ多くの宿泊者が利用するため、自然とレビューの数も増えます。
レビューが多い物件は、初めての宿泊者にも安心感を与え、次の予約につながりやすくなります。
さらに、高評価レビューが増えると、Airbnbなどの検索結果でも上位に表示されやすくなり、新たな集客につながるという好循環を生み出します。
空室リスクの低下と安定経営
稼働率が高い状態を維持できれば、空室による収益損失を最小限に抑えることができます。
特に固定費(家賃・ローン・光熱費など)は毎月発生するため、空室が多いと大きな負担になります。
稼働率を安定させることで、毎月の収支が読みやすくなり、突発的な赤字リスクを回避しやすくなります。
結果として、経営の安定性と持続性が大きく高まります。
M&A・出口戦略時の評価が上がる
民泊物件を売却したり事業譲渡する場合、稼働率は大きな評価基準になります。
高稼働の実績がある物件は、「継続的に収益を上げられる投資対象」として高く評価され、M&A市場でも買い手が付きやすくなります。
つまり、稼働率を高く維持することは、将来的な出口戦略においても資産価値を高める重要な要素となります。
稼働率を向上させる具体的な施策10選

稼働率を高めるためには、「物件そのもの」と「集客の仕組み」の両方を改善する必要があります。
ここでは、民泊初心者から経験者まで実践できる、効果的な稼働率向上施策を10個厳選してご紹介します。
① 価格を自動で調整する(ダイナミックプライシング)
ダイナミックプライシングを使えば、需要に合わせて価格を自動で調整できます。
たとえば、繁忙期は料金を高く、閑散期は安くすることで、予約が入りやすくなり、稼働率もアップします。
ツールによっては、近くの競合物件の情報をもとに、最適な価格を提案してくれるものもあります。
価格は、タイミングを逃さずに売るための大事なポイントです。
② 魅力的な写真と訴求力ある説明文を掲載する
物件ページを見たときの第一印象が、予約されるかどうかのカギになります。
明るくてキレイな写真で部屋の魅力を伝えましょう。
説明文では、立地・設備・サービスの内容をわかりやすく、具体的に書くのがポイントです。
「ここに泊まりたい!」と思ってもらえるように工夫することが大切です。
写真と説明文は、予約数に大きく影響する大事な“営業ツール”です。
③ 設備や内装をアップグレードする
快適な設備やおしゃれな内装は、ゲストの満足度に直結します。
エアコン・Wi-Fi・寝具など、基本の設備がちゃんと整っているかを見直しましょう。
また、壁紙や照明を変えるだけでも部屋の雰囲気が良くなり、写真映えもアップします。
内装がステキだと予約率も高くなります。
④ 清掃品質を向上させ、管理を一貫させる
清潔さは、レビュー評価に大きく影響します。
掃除のレベルを上げることで、レビューが良くなり、リピーターや新しい予約が増えやすくなります。
清掃業者や運営代行と連携して、掃除のミスがないように管理体制を整えることが大切です。
ゲストが「また泊まりたい」と思ってもらえる環境をつくりましょう。
⑤ 多言語対応を進め、外国人に配慮する
インバウンド需要が戻ってきている今、外国人観光客への対応が稼働率アップのカギになります。
英語や中国語での案内文やチェックイン方法を用意しておくと安心です。
翻訳アプリや自動応答ツールを使うのもおすすめです。
また、文化や宗教に配慮したアイテム(たとえばスリッパやハラール対応の案内など)を用意すれば、宿泊者からの評価も良くなります。
⑥ 長期滞在・連泊プランを導入する
連泊や1週間以上の長期滞在プランを用意することで、稼働率が安定しやすくなります。
宿泊者の入れ替えが減るため、清掃・チェックイン対応の手間も軽減でき、コスト効率も向上します。
特にワーケーション需要の増加やリモートワークの浸透により、「暮らすように泊まる」スタイルが注目されています。
⑦ 季節やイベントに応じたプランを設計する
春はお花見、夏は花火大会、秋は紅葉、冬はスキーなど、季節ごとのイベントに合わせた宿泊プランを出すと、予約が入りやすくなります。
たとえば、「〇〇祭りプラン」や「年末年始の特別割引」など、テーマをはっきりさせることで、旅行者が検索しやすくなり、予約につながりやすくなります。
⑧ SNSや広告を活用してマーケティングを強化する
民泊の稼働率を高めるには、OTAだけでなく、InstagramやYouTube、Google広告なども積極的に活用するべきです。
視覚的な投稿で物件の魅力を伝えたり、特定のターゲット層に向けた広告配信を行うことで、新規顧客の獲得が期待できます。
自社予約ページへの誘導も視野に入れると、手数料を抑えることも可能です。
⑨ OTA内でSEO対策を実施する(Airbnbなど)
Airbnbなどの予約サイトでは、検索結果で上の方に表示されるかどうかで、予約の数が大きく変わります。
その順位は、写真の質やレビューの数、すばやい返信、カレンダーのこまめな更新などで決まるため、毎日の管理がとても大事です。
また、「スーパーホスト」などのバッジを取ることで信頼感がアップし、ページを見てもらえる確率や予約が入る可能性も高くなります。
⑩ マンスリーとのハイブリッド運用で通年稼働を目指す
民泊としての営業が難しい閑散期や、180日規制のある地域では、マンスリーマンションとしての活用も視野に入れましょう。
短期と中長期を組み合わせることで、通年稼働を目指すハイブリッド運用が可能になります。
空室期間を減らし、安定収益を確保する柔軟な戦略として、多くの運営者が取り入れています。
エリア別で見る稼働率を上げる戦略

民泊の稼働率を効果的に上げるには、地域特性に合った戦略が欠かせません。
ここでは、代表的なエリア別に、稼働率を向上させるための実践的なアプローチを解説します。
東京・大阪・京都など都市型民泊の戦略
都市部の民泊では、「アクセスの良さ」をしっかりアピールすることが大切です。
駅に近かったり、繁華街の近くにある物件は、ビジネス出張の人や外国人観光客、若い旅行者など、いろいろなニーズに応えることができます。
対策としては、短期滞在に便利な「セルフチェックイン」、Wi-Fiの完備、スマートロックの導入などをしておきましょう。
また、価格は近くの競合施設を参考にしながら、平日と週末でうまく調整することがポイントです。
北海道・沖縄・長野など観光地型の戦略
観光地の民泊は、季節ごとのイベントや旅行シーズンに合わせた運営がカギです。
たとえば、
- 北海道は冬のスキー客
- 沖縄は夏の海水浴客
- 長野は春や秋の登山や紅葉客
といったように、それぞれに合った「季節限定プラン」や「体験付きプラン」を出すと、予約が増えやすくなります。
また、SNSで自然の風景やアクティビティの楽しさを発信するのも効果的です。
地方都市・田舎エリアでの差別化方法
観光客が少ないエリアでは、「その土地でしかできない体験」や「特別感のある宿泊」をアピールするのがポイントです。
たとえば、
- 古民家風の宿
- 囲炉裏での食事体験
- 地元の食材を使った朝ごはん
など、他とは違う魅力をつくりましょう。
さらに、長期滞在やワーケーション向けのプラン、自炊ができるキッチンなども用意すれば、都市にはない価値を提供できて差別化につながります。
成功している民泊の事例に学ぶ稼働率アップの秘訣

稼働率の高い民泊には、共通する「運営の工夫」や「仕組み」が存在します。
ここでは、具体的な成功事例をもとに、稼働率を安定的に上げるためのヒントを学んでいきましょう。
レビュー平均4.8以上を維持する運用を学ぶ
レビューで高評価(平均4.8以上)をもらっている民泊には共通点があります。
それは、「清潔さ」「正しい情報の提供」「丁寧なやりとり」を大事にしていることです。
特別なサービスをしなくても、ゲストが安心して快適に過ごせるように工夫すれば、自然と良い評価が集まります。
特に大事なのは、スムーズなチェックインや備品の使いやすさなど、小さな気配りの積み重ねです。
Airbnbスーパーホストの運営方法を学ぶ
Airbnbのスーパーホストに共通しているのは、「信頼できる運営」をしていることです。
たとえば、予約への対応が早い、レビュー評価が高い、キャンセルが少ないなど、基本的なことをしっかり続けています。
また、チェックイン前にゲストへメッセージを送るなど、丁寧なやり取りも高く評価されています。
スーパーホストになると検索結果で上位に表示されやすくなり、予約が増えるメリットもあります。
立地が悪くても稼働率を上げる工夫を学ぶ
駅から遠い、観光地から離れているなど、場所に不便がある物件でも、しっかり予約が入っている例はたくさんあります。
その理由は、「不便さをカバーする工夫」をしているからです。
たとえば、
- 無料の送迎サービス
- レンタル自転車の用意
- 周辺の観光情報をまとめたマップを渡す
など、移動の不便さを減らして、ゲストの満足度を上げています。
さらに、「地元ならではの体験ができる」といったポイントをアピールするのも効果的です。
稼働率の改善に役立つツール・サービス一覧
稼働率を上げるには、物件やオーナーの努力だけでなく、便利なツールや外部サービスの活用も大きな助けになります。
ここでは特に実用的で成果の出やすい3つのサービスを紹介します。
収益管理ツールを活用する(AirDNA、PriceLabsなど)
AirDNAやPriceLabsなどのツールを使えば、需要の予測や価格の自動調整ができます。
たとえば、旅行シーズンには価格を上げ、予約が少ない時期には割引をするなど、柔軟な価格設定が可能です。
自分で価格を調整するのは手間がかかるので、自動化すると楽になり、稼働率と収益の両方がアップします。
運用代行会社を利用する
本業が忙しい人や複数の物件を持っている人には、民泊の運用代行サービスがおすすめです。
予約管理やゲスト対応、清掃の手配などをすべて任せられるので、時間の節約になり、運営の質も保てます。
信頼できる会社を選べば、レビューや問い合わせへの対応もプロ品質になり、稼働率とゲスト満足度がどちらも上がります。
清掃や写真撮影を外注する
ゲストの印象を大きく左右するのが「清掃」と「写真」です。
プロの清掃なら、細かいところまできれいにできて、良いレビューにつながります。
写真もプロが撮れば、部屋が明るく広く見え、予約率アップに効果があります。
費用はかかりますが、その分、予約が増えて利益でしっかり回収できます。
まとめ:民泊の稼働率を正しく把握して収益最大化を狙おう
民泊でしっかり稼ぐためには、「稼働率」をしっかり見て、改善していくことが大切です。
稼働率は、部屋の魅力、運営のやり方、集客の工夫など、いろんな要素の結果を表す数字です。
たとえば、価格を見直したり、写真をよくしたり、運用代行を使ったりすることで、少しずつ稼働率が上がっていきます。
まずは、自分の物件が今どんな状態かをきちんと確認して、できることから一歩ずつ始めてみましょう。
なお、民泊の始め方については「【自宅や空き部屋で】民泊を始める方法!開業の流れや費用など解説」の記事で詳しく解説しています。