民泊のダイナミックプライシング運用|料金の決め方・効果・失敗例

民泊のダイナミックプライシング運用|料金の決め方・効果・失敗例

民泊のダイナミックプライシングは、基準料金と上限・下限を先に決め、その範囲で曜日や繁閑期、周辺イベントなどに応じて料金を動かす運用です。確認事項は週1回の予約状況と月1回の利益が目安になります。

料金を下げて稼働率を上げても、予約ごとに清掃費などがかかるため、利益が増えるとは限りません。

まずは、1予約あたりの費用から下限料金を計算し、そのうえで需要の強い日から料金を引き上げましょう。

【この記事のポイント】

  • ダイナミックプライシングは、曜日・繁閑期・周辺イベント・予約の入り方・宿泊日までの日数を見て料金を上げ下げする方法
  • 料金を動かす前に基準料金・下限・上限を決め、下限は1予約あたりの費用から逆算する
  • 確認は週1回の予約状況と、月1回の利益が目安
  • 手動・料金設定ツール・運営代行は、施設数・費用・作業時間で選ぶ
  • 効果は稼働率や単価ではなく、手数料・清掃費などを差し引いた利益で確かめる

※制度・料金体系に関する記載は2026年9月29日時点の情報です。

目次
  1. 民泊のダイナミックプライシングとは
    1. 需要に合わせて料金を変える仕組み
    2. Airbnbのスマートプライシングでできること
  2. 民泊のダイナミックプライシングのメリット・デメリット
    1. 繁忙日の取りこぼしと平日の空室を減らせる
    2. 手間と費用がかかり、値下げで利益が減ることもある
    3. 料金差がゲストの不満につながる場合もある
  3. 民泊の基準料金と上限・下限の決め方
    1. 基準料金は周辺の類似物件から決める
    2. 下限料金は1予約あたりの費用から逆算する
    3. 上限料金は繁忙日の相場と定員で決める
  4. 民泊の料金を見直すタイミングと手順
    1. 曜日と繁閑期で料金の型を作る
    2. 周辺イベントは発表された時点で反映する
    3. 予約の入り方と宿泊日までの日数で調整する
  5. 民泊料金の調整方法|手動・ツール・代行
    1. 手動調整が向いているケース
    2. 料金設定ツールが向いているケース
    3. 運営代行に料金設定を任せる場合の確認点
  6. 民泊料金の効果は利益で確かめる
    1. 稼働率・平均単価・販売可能日あたり売上を見る
    2. 手数料・清掃費・ツール代を引いた利益で比べる
    3. 料金を見直しても改善しない場合
  7. 民泊のダイナミックプライシングの失敗例と対策
    1. 下限を決めずに値下げを繰り返す
    2. 自動設定と割引を任せきりにする
    3. 住宅宿泊事業の180日を安い日で使い切る
    4. 手数料や費用の変化を料金に反映しない
  8. 民泊のダイナミックプライシングのよくある質問
    1. スマートプライシングだけで運用してもよいですか
    2. 料金設定ツールの費用はいくらですか
    3. 料金を変えると、予約済みの料金も変わりますか

民泊のダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングとは、需要の強さに合わせて宿泊料金を上げ下げする価格の決め方です。民泊では、曜日・繁閑期・周辺イベント・予約の入り方・宿泊日までの日数の5つを判断材料にします。

判断材料ごとの確認点と、料金の動かし方の例は次のとおりです。

判断材料確認すること料金の動かし方の例
曜日金曜・土曜・祝前日と平日で、予約の入り方がどう違うか週末と祝前日は基準料金より高くし、平日は基準料金を中心に置く
繁閑期月ごとの稼働の差、大型連休、観光シーズン繁忙月は基準料金を引き上げ、値下げの幅を小さくする
周辺イベントコンサート、祭り、花火大会、スポーツ大会、学会など日程が発表された時点で、該当日の料金を引き上げる
予約の入り方前月や前年の同じ時期と比べて、予約が早く埋まっているか早く埋まっていれば残りの日を値上げし、遅ければ条件を見直す
宿泊日までの日数直前まで空いている日がどれくらいあるか直前の値下げは下限の範囲にとどめる

需要に合わせて料金を変える仕組み

宿泊は、日付を過ぎると売れ残った分を翌日に回せません。そこで、需要の弱い日は料金を下げて予約を取り、需要の強い日は料金を上げて単価を確保するのが、固定料金との違いです。

航空券やホテルでも使われる方法ですが、民泊にはホテルと異なる事情が3つあります。

  • 1〜3室の小規模運営では、1日の空室が月の売上に与える影響が大きい
  • 予約ごとに清掃費がかかり、泊数の短い予約が増えると費用もかさむ
  • 住宅宿泊事業では、人を宿泊させる日数が年180日以内に限られる

180日の上限を定めているのは、住宅宿泊事業法第2条第3項です。上限がある物件で安い料金のまま日数を使い切ると、高く売れる日に営業できなくなります。

制度の概要は、観光庁の「民泊制度ポータルサイト」で確認できます。

Airbnbのスマートプライシングでできること

Airbnbには、類似リスティングの需要に合わせて料金を自動で上げ下げする「スマートプライシング」という機能があります。

ホストが最低料金と最高料金を入力すると、その範囲内で1泊料金が調整されます。特定の日付は、カスタム料金で上書きすることも可能です。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 週割・月割・連泊割引は、スマートプライシングより優先される
  • 早割などの割引を適用すると、ゲストの支払額が最低料金を下回る場合がある
  • 週末料金を設定する場合は、スマートプライシングをオフにする必要がある

自動調整は、判断材料の一部を代わりに見てくれる機能にとどまります。下限・上限の設定と定期的な確認は、ホスト自身が担いましょう。

詳しい仕様は、Airbnbヘルプセンターの「需要に合わせて料金が自動調整される「スマートプライシング」をご利用ください」に掲載されています。

民泊のダイナミックプライシングのメリット・デメリット

料金を需要に合わせて動かすと、繁忙日の取りこぼしと平日の空室を減らせる可能性があります。その一方で、調整の手間やツール・委託の費用がかかり、値下げが先行すれば利益はかえって減ります。

効果の大きさは、物件の立地や規模、運営状況によって異なる点に注意してください。

繁忙日の取りこぼしと平日の空室を減らせる

料金を固定していると、2つの損が同時に起きます。繁忙日は周辺の物件より安い料金で早く予約が埋まり、平日は周辺の物件より料金が高いため空室が残るからです。

需要に合わせて料金を動かせば、繁忙日は単価を上げ、平日は予約の入る水準に近づけられます。

季節やイベントのたびに一から料金を考える手間も、あらかじめルールを決めておけば減らせるでしょう。

手間と費用がかかり、値下げで利益が減ることもある

手動なら周辺の料金とイベント情報を確認する時間が、ツールなら月額費用が、運営代行なら委託料がかかります。

本業のある方にとっては、費用と時間のどちらを負担するかの選択になるでしょう。

値下げにも注意が必要です。値下げで手数料額は減っても、清掃費など予約1件ごとの費用は変わりません。予約が増えても、利益が増えるとは限らないのです。

デメリットを避ける前提として、先に下限料金を決めておきましょう。

料金差がゲストの不満につながる場合もある

日程や予約した時期によって料金が違うことに、納得しにくいゲストもいます。たとえば、同じ部屋の料金が数日で大きく変わると、不公平に感じる人もいるでしょう。

不満を避けるには、同じ日付の料金を短期間で大きく動かさないことが大切です。

問い合わせを受けた場合は、日程や時期によって料金が変わることを丁寧に説明しましょう。

民泊の基準料金と上限・下限の決め方

料金を動かす前に、基準料金・下限料金・上限料金の3つを決めておきます。下限は1予約あたりの費用から逆算し、上限は周辺の類似物件が繁忙日につけている料金を参考に設定しましょう。

3つの料金の決め方と見直すタイミングは、次のとおりです。

項目決め方見直すタイミング
基準料金周辺の類似物件の平日・週末の料金帯と、自分の物件のレビュー数・評価から決める季節の変わり目、レビューが増えたとき
下限料金清掃費・消耗品費・予約サイトの手数料と、年間の販売予定泊数で配分した固定費から逆算する手数料体系や清掃の委託料が変わったとき
上限料金周辺の類似物件の繁忙日の料金と、定員・設備から決める大型イベントの前、繁忙期の前

基準料金は周辺の類似物件から決める

まず、同じエリアで定員・間取り・設備が近い物件を5〜10件選びます。予約サイトで平日と週末の日付を入れ、それぞれの料金を記録しましょう。

表示される金額には、清掃料金やサービス料が含まれる場合があります。比べるときは、1泊あたりの宿泊料金にそろえてください。

レビュー数が少ない、または評価が低い段階では、周辺の料金帯の中間程度か、やや低めの料金から始め、レビューが増えたら見直すのが無難です。

下限料金は1予約あたりの費用から逆算する

下限料金を求める計算式は、次のとおりです。

  • 1泊あたりの変動費=(清掃費+消耗品費-清掃料金の受取額)÷平均宿泊日数
  • 清掃料金の受取額=ゲストに別途請求する清掃料金×(1-手数料率)
  • 1泊あたりの固定費=年間の固定費÷年間の販売予定泊数
  • 変動費を回収できる最低ライン=1泊あたりの変動費÷(1-手数料率)
  • 通常の下限料金=(1泊あたりの変動費+1泊あたりの固定費)÷(1-手数料率)

たとえば、清掃費と消耗品費が1回8,000円、平均2泊で、清掃料金を別途請求しない物件で計算します。手数料率は15.5%(説明用の仮定)、家賃などの固定費は年120万円とします。

1泊あたりの変動費は4,000円です。変動費を回収できる最低ラインは約4,734円で、100円単位で設定するなら4,800円以上になります。

通常の下限料金は、年間の販売泊数によって次のように変わります。

  • 通年営業できる旅館業などで年240泊(月20泊)販売する場合:1泊あたりの固定費は5,000円、下限料金は約1万651円(100円単位なら1万700円以上)
  • 住宅宿泊事業で、届出住宅を1日1組に貸して年間180日宿泊させた場合:1泊あたりの固定費は約6,667円、下限料金は約1万2,624円(100円単位なら1万2,700円以上)

変動費だけを回収する料金は、通常の下限にしないでください。固定費を回収できないため、使うのは直前まで空いている日に限ります。

住宅宿泊事業では、年180日の残り枠とその後の繁忙日を確認したうえで値下げを判断しましょう。固定費を割るのは、条例による営業期間の制限も踏まえて、実際に販売を見込める泊数です。

清掃料金をゲストに別途請求する場合は、その料金にも予約サイトの手数料がかかります。清掃料金8,000円に15.5%の手数料がかかると、清掃費に充てられるのは6,760円です。

手数料率の変化にも注意してください。Airbnbは、サービス料の全額をホストが負担するシングルサービス料への移行を進めています。料率は多くのホストで15.5%、それ以外のホストでは通常14〜16%です。

料率の最新情報は、Airbnbヘルプセンターの「Airbnbサービス料」で確認してください。

上限料金は繁忙日の相場と定員で決める

上限料金は、定員や設備が近い物件が大型連休やイベント日につけている料金を参考に決めます。

上限を設けないと、自動調整や手動の値上げで相場から大きく外れ、予約が入らないまま直前を迎える場合があるでしょう。

値上げの際は、宿泊税の区分も確認が必要です。宿泊料金の区分で税額を決めている自治体では、値上げによって区分が変わる場合があります。

たとえば、京都市では2026年3月1日の宿泊分から、1人1泊あたりの宿泊料金に応じた区分が5段階になりました。

  • 6,000円未満:200円
  • 6,000円以上2万円未満:400円
  • 2万円以上5万円未満:1,000円
  • 5万円以上10万円未満:4,000円
  • 10万円以上:1万円

区分は1人1泊あたりの料金で決まるため、一棟貸しでは宿泊人数によって区分が変わる場合があります。判定に使う宿泊料金は、食事代や消費税などを除き、清掃代を含めた金額です。予約サイトへ支払う手数料を差し引く前の金額で判定されるため、手取り額で考えないよう注意しましょう。

詳細は、京都市の「京都市宿泊税改正のお知らせ」と「宿泊施設を経営されている方向け(徴収について)」に掲載されています。宿泊税の有無と区分は自治体ごとに異なるため、物件所在地の自治体の公式サイトで確認してください。

民泊の料金を見直すタイミングと手順

料金は毎日変える必要はありません。年間の料金の型を先に作り、週1回の予約状況の確認と、イベント情報が出たときの個別調整で運用します。

曜日と繁閑期で料金の型を作る

まず、年間カレンダーに曜日ごとの料金差と、月ごとの繁閑を反映した「料金の型」を作ります。平日・金曜・土曜・祝前日で料金を分け、繁忙月と閑散月で基準料金を上下させる形です。

繁閑は、自施設の過去の予約実績と、観光庁の「宿泊旅行統計調査」にある都道府県別・月別の客室稼働率で判断します。

ただし、この調査の対象は旅館・ホテル・簡易宿所で、住宅宿泊事業の届出住宅は含まれません。地域の宿泊需要を知る参考として使い、住宅宿泊事業の宿泊実績とあわせて確認しましょう。

住宅宿泊事業の宿泊実績は、住宅宿泊事業法第14条に基づく2か月ごとの定期報告を観光庁が集計し、「民泊制度ポータルサイト」で公表しています。自施設の報告記録も、料金の見直しに役立つでしょう。

周辺イベントは発表された時点で反映する

コンサートや祭り、花火大会、スポーツ大会、学会などが開かれる日は、周辺で宿泊需要が集中します。日程は自治体や観光協会、会場の公式サイトで確認し、発表された時点で該当日の料金を見直しましょう。

イベントの発表後は、自動設定の料金を確認します。意図した価格になっていなければ、該当日をカスタム料金で上書きしてください。

あわせて、最低宿泊日数の設定も見直すとよいでしょう。需要の集中する日が1泊だけの予約で埋まると、前後の日が売れ残る場合があるためです。

予約の入り方と宿泊日までの日数で調整する

週1回、今後30日程度の予約状況を確認する習慣をつけましょう。確認したい項目は次のとおりです。

  • 今後30日間で空いている日の数
  • 前週から増えた予約の数
  • 周辺の類似物件の同じ日の料金
  • 新たに発表されたイベント
  • 割引設定が重なっていないか

予約が早く埋まっている時期は、残りの日を値上げします。宿泊日が近づいても空いている日は、下限の範囲で値下げしましょう。

ただし、直前の値下げを毎回行うと、利益の薄い予約が増えていきます。

民泊料金の調整方法|手動・ツール・代行

料金調整の方法を選ぶ基準は、施設数と確保できる作業時間です。1〜2室で週1回の確認ができるなら手動、複数の物件や予約サイトを扱うならツールが向いています。

確認の時間が取れない場合は、料金設定を含む運営代行が候補になります。

なお、ここで比べるのは料金設定の方法です。住宅宿泊事業で家主不在型となる場合は、料金を自分で設定していても、原則として住宅宿泊管理業者への管理業務の委託が必要です(住宅宿泊事業法第11条第1項)。

委託の要件は、観光庁の「管理業務の委託について」で確認できます。

3つの方法の違いは、次のとおりです。

方法向いているケース費用の目安ホストの作業
手動調整(予約サイトの標準機能を含む)1〜2室、予約サイトが1〜2か所料金設定自体の追加費用なし週1回の確認と料金の入力、月1回の振り返り
料金設定ツール複数の物件、複数の予約サイトで販売している物件数に応じた月額制や、売上の一定割合を支払う方式がある初期設定、上限・下限の見直し、提示された料金の確認
料金設定を含む運営代行本業が忙しい、物件が遠方にある完全代行で売上の15〜20%程度が一例(清掃費などが別途かかる場合もあるため見積もりで確認)月次報告の確認、委託後の利益の確認

手動調整が向いているケース

手動調整では、予約サイトの標準機能と手動の上書きを組み合わせて運用します。料金の型を作っておけば、週1回の確認を基本に、イベントの発表時だけ随時見直せば回せます。

自分で判断する分、周辺の相場やイベントに詳しくなれる点は利点です。一方で、確認を怠ると繁忙日を安く売ってしまう点が弱点になります。

料金設定ツールが向いているケース

複数の物件や予約サイトを扱う場合、手動で料金をそろえる作業は負担が大きくなります。ツールには、周辺の料金や予約状況のデータをもとに料金を提示し、予約サイトへ反映できるものがあります。

費用は表のとおり料金体系がツールごとに異なるため、無料の試用期間などで確かめてから判断しましょう。予約管理システム(PMS)を使うホストには、Airbnbのシングルサービス料が必ず適用されます。

ツールを入れても、上限・下限の設定と提示された料金の確認はホストの役割です。導入前後の作業時間を記録しておき、ツール代と減った作業時間の両方から、使い続けるかを判断するとよいでしょう。

運営代行に料金設定を任せる場合の確認点

料金設定を運営代行に任せる場合は、契約前に次の点を確認しましょう。

  • 料金を決める権限がどちらにあるか
  • 上限・下限をホストと合意して決めるか
  • 料金の変更をどの頻度で報告するか
  • 委託料の計算の元になる金額(宿泊料金のみか、清掃料金を含むか)
  • 月次報告に稼働率・平均単価・経費の内訳が載るか
  • 解約の条件と予告期間

運営代行を使うかどうかは、委託料の料率ではなく、委託後に手元へ残る利益で判断します。

民泊料金の効果は利益で確かめる

料金を見直した効果は、稼働率や宿泊単価だけでは判断できません。予約サイトの手数料・清掃費・ツール代などを差し引いた利益を、月1回比べましょう。

稼働率・平均単価・販売可能日あたり売上を見る

料金の効果を見る指標は、次の3つです。

  • 稼働率=販売した宿泊日数÷販売できる日数
  • 平均宿泊単価=宿泊売上÷販売した宿泊日数
  • 販売可能日あたり売上=宿泊売上÷販売できる日数

稼働率と平均単価は、どちらか一方が上がっても売上が増えたとは限りません。両方を反映した販売可能日あたり売上で見ると、月ごとの比較がしやすくなります。

数字は月1回、前月と前年同月を並べて確認しましょう。

手数料・清掃費・ツール代を引いた利益で比べる

売上が伸びても、費用が増えていれば利益は残りません。月間利益は、次の式で計算します。

月間利益=月間売上-(予約サイトの手数料+清掃費・消耗品費+ツール代・委託料+固定費)

1か月30日の物件で、3つの運用を比べると次のようになります。

想定平均単価販売泊数(稼働率)月間売上手数料・清掃費など固定費を引いた利益
①値下げで埋めた月9,000円24泊(80%)21万6,000円12万9,480円△1万3,480円
②基準料金のまま1万2,000円18泊(60%)21万6,000円10万5,480円1万520円
③需要に合わせて変動約1万3,200円18泊(60%)23万8,000円11万1,890円2万6,110円

※説明用の試算です。実際の売上・経費を保証するものではありません。

前提は、1予約2泊、清掃費・消耗品費1回8,000円、清掃料金の別途請求なし、手数料15.5%(説明用の仮定)、固定費月10万円です。③はツール代月3,000円を加え、平日1万1,000円で10泊、週末1万6,000円で8泊を販売した場合です。

通年営業できる制度を想定した1か月単位の比較のため、住宅宿泊事業では年180日の範囲で月ごとの宿泊日数を配分してください。

①は稼働率が最も高いものの、清掃の回数が増え、固定費を引くと赤字です。②は①と同じ売上でも、予約件数が少ない分だけ利益が残ります。

③は稼働率が②と同じでも、需要に合わせて単価を変えたことで利益が最も大きくなりました。なお、この試算には税金、突発的な修繕、借入金の利息を含めていません。

経費の内訳や項目ごとの相場は、「民泊収益シミュレーションのやり方とは?」で解説しています。

料金を見直しても改善しない場合

料金を見直しても予約が入らない場合は、価格以外に原因があるかもしれません。写真や説明文、レビューの内容を見直してみましょう。

予約不振の原因と対策は、「Airbnbで予約が入らない理由と解決策を完全解説!今日からできる対策+成功戦略7選」で詳しく解説しています。

検索結果での表示順位が低いと、料金を下げても物件を見つけてもらえません。表示順位の仕組みは、「Airbnbで上位表示されるアルゴリズムとは?閲覧数を上げて成約数を増やす方法」で解説しています。

予約は入っているのに利益が残らない場合は、料金だけでなく固定費や運営方法を含めて見直す必要があります。原因の切り分け方は、「Airbnbは儲からないって本当?5つの原因と収益改善策を徹底解説」を参考にしてください。

料金や運営方法を見直しても利益が残らない場合や、運営の負担を続けられない場合は、事業としての売却も選択肢になります。

民泊のダイナミックプライシングの失敗例と対策

失敗の多くは、下限を決めずに値下げすること、自動設定や割引を任せきりにすること、費用の変化を料金に反映しないことから起きます。

下限を決めずに値下げを繰り返す

空室が目立つたびに値下げすると、稼働率が上がっても利益が減る場合があります。前章の試算で、値下げで埋めた①が赤字になったのはこのためです。

値下げの幅は下限料金の範囲にとどめ、その前に写真や説明文など価格以外の原因がないかも確認してください。

自動設定と割引を任せきりにする

自動設定の料金が、自分の把握している周辺イベントなどの需要を反映しているとは限りません。任せきりにすると、需要の強い日を安く売ってしまう場合があります。

割引の重なりにも注意が必要です。スマートプライシングと早割などを併用すると、ゲストの支払額が設定した最低料金を下回る場合があります。

提示されている料金と割引の設定は、月1回見直してください。

住宅宿泊事業の180日を安い日で使い切る

住宅宿泊事業では、宿泊日数を毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間で数えます。この期間に人を宿泊させる日数は、180日を超えられません。

宿泊日数は届出住宅ごとに数えます。複数の物件を運営している場合は、物件ごとに180日の枠を管理しましょう。

閑散期に安い料金で日数を消費すると、繁忙期や大型イベントの時期に営業できる日が残らない場合があります。年度の初めに月ごとに宿泊させる日数の目安を決め、需要の強い日を優先して販売してください。

手数料や費用の変化を料金に反映しない

Airbnbでは、分割負担型からシングルサービス料への移行が進んでいます。分割負担型ではホストが通常3%、ゲストが通常14.1〜16.5%を負担していました。

移行後はサービス料の全額をホストが負担し、料率は多くのホストで15.5%です。宿泊料金を据え置いたままだと、ゲストの支払額は下がる場合がありますが、ホストの手取りは減ります。

ゲストの支払総額が大きく変わらない範囲で、宿泊料金を見直せる場合があります。移行の状況は、Airbnbヘルプセンターの「Airbnbサービス料」で確認しましょう。

清掃の委託料や消耗品の価格が変わったときも、下限料金を計算し直してください。

民泊のダイナミックプライシングのよくある質問

スマートプライシングだけで運用してもよいですか

スマートプライシングだけでも料金の自動調整はできますが、任せきりにはできません。最低料金・最高料金の設定、イベント日の上書き、割引との重なりの確認は、ホスト自身が行う必要があります。

1〜2室で予約サイトが1か所なら、スマートプライシングと週1回の確認で運用できる場合もあるでしょう。

料金設定ツールの費用はいくらですか

料金設定ツールの費用は、物件数に応じた月額制と、売上の一定割合を支払う方式が中心です。売上の1%程度を支払う方式もあります。

為替や物件数によって金額が変わるため、公式サイトで最新の料金を確認してください。導入後に増える利益と比べて、費用に見合うかを判断しましょう。

料金を変えると、予約済みの料金も変わりますか

カレンダーの料金を変えても、保留中または確定済みの予約の料金は変わりません。新しい料金が適用されるのは、原則として変更後に入る予約です。

ただし、日程の変更などにゲストとホストが合意した場合は、予約の料金が変わることがあります。

値上げの前に入った繁忙日の予約は、安い料金のままです。イベント日や繁忙期の料金は、予約が入り始める前に設定しておきましょう。

まとめ

民泊のダイナミックプライシングは、需要に合わせて料金を上げ下げする方法です。先に費用から下限料金を計算しておくことが、安売りを防ぐ前提になります。

運用で確認したいポイントは、次のとおりです。

項目確認すること頻度
下限・上限費用と手数料率、年間の販売予定泊数、周辺の繁忙日の料金導入時、費用や手数料が変わったとき
料金の型曜日と繁閑期の料金差季節の変わり目
周辺イベント自治体や会場の公式発表発表のたび
予約状況今後30日の空室、予約の増え方、割引の重なり週1回
効果稼働率、平均単価、手数料などを引いた利益月1回

調整の方法は、施設数・費用・作業時間で選びます。効果は稼働率や単価ではなく、手数料などを差し引いた利益で確かめましょう。

料金を見直しても改善しない場合は、写真や表示順位など、料金以外の課題も切り分けてください。

民泊&では、民泊の売却や購入に関する相談を受け付けています。料金や運営を見直しても利益が残らない場合は、売却も含めて検討できます。