民泊から旅館業へ切り替えたい方必見!メリット・手続き・費用・注意点を徹底網羅
「民泊を旅館業に切り替えたいけど、何から始めればいいの?」
「費用や手続きが不安…」
そんな方のために、
この記事では旅館業への切り替えメリットから、必要な手続き、費用、注意点、よくある質問までを初心者向けにわかりやすく解説します。
180日制限を超えて安定収益を目指したい方や、本格的な宿泊ビジネスを考えている方は、ぜひ最後までチェックしてください。
目次
民泊から旅館業に切り替えるべき理由
民泊運営における「年間180日制限」や「信頼性の低さ」に悩んでいる方にとって、旅館業への切り替えは大きな転機となります。
ここでは、なぜ今「旅館業へ切り替えるべき」なのか、その4つの主要な理由を初心者にもわかりやすく解説します。
1.年間180日制限からの解放
旅館業に切り替えることで、「年間180日まで」という民泊新法の営業日数制限から完全に解放されます。
これにより、繁忙期や連休などの機会損失を防ぎ、通年で安定した集客・売上を見込めるようになります。
民泊では、180日を超えると違法営業となるため、知らずに違反してしまうリスクもあります。
旅館業許可を取得すれば、こうした法的リスクを回避し、計画的な宿泊ビジネスの展開が可能になります。
2.信頼性・ブランド力の向上
旅館業許可を取得することで、施設としての「信頼性」と「ブランド力」が大きく向上します。
民泊は未だにグレーなイメージを持たれることもありますが、旅館業として登録されている施設は、行政の審査を通過した「正規の宿泊施設」として認識されます。
その結果、宿泊者に安心感を与えやすくなり、口コミ評価の向上やリピーターの増加にもつながります。
法人や長期滞在を希望する顧客にも訴求しやすくなる点は、事業拡大を目指す上で大きな利点です。
3.安定した収益と経営が実現できる
旅館業へ切り替えることで、通年営業が可能となり、収益の安定化が期待できます。
民泊では180日制限のため、収益が季節やイベントに左右されがちでしたが、旅館業ではそうした波を最小限に抑えられます。
さらに、OTA(オンライン旅行代理店)との提携や法人向け需要の取り込みも可能となるため、客層の幅が広がり、収益の柱を複数持つ経営スタイルにシフトできます。
これにより、長期的な視点での事業運営が実現可能になります。
4.旅行代理店やOTAへの登録が可能に
旅館業へ切り替えることで、楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなどの大手OTA(オンライン旅行代理店)への登録が可能になります。
これらのプラットフォームでは、旅館業許可を取得していない施設は掲載対象外となるケースが多く、民泊では集客チャネルが限られがちです。
旅館業に切り替えることで、より広範な客層にアプローチでき、予約数の増加や稼働率向上が期待できます。
特にインバウンドや法人需要を取り込みたい場合には、OTA掲載は必須の施策と言えるでしょう。
民泊と旅館業の違いをわかりやすく比較
「民泊」と「旅館業」は、どちらも宿泊施設ですが、法律や設備、営業条件において大きく異なります。
ここでは、両者の主要な違いを4つのポイントに分けて、初心者にもわかりやすく比較していきます。
1.営業日数・許可の違い
民泊は「年間180日まで」の営業日数制限がありますが、旅館業にはそのような制限はなく、通年営業が可能です。
また、民泊は「届出制」で比較的簡単に始められますが、旅館業は「許可制」であり、都道府県や保健所の厳しい審査をクリアしなければなりません。
そのため、民泊は短期的・副業的な運営に向き、旅館業は本格的な事業としての運営に適しているといえます。
2.用途地域と建築用途の違い
旅館業を行うには、物件が「旅館・ホテル営業可能な用途地域」にある必要があります。
一方、民泊は「住宅地」でも営業できるケースが多いのが特徴です。
また、建物の「用途」も重要で、民泊は「居宅」としての使用が認められますが、旅館業では「旅館・ホテル」用途への変更が必要となる場合があります。
特に延床面積200㎡を超える建物では、建築確認申請が必要になるため、切り替えを検討する際は、必ず地域の用途制限と建築基準法を確認しましょう。
3.フロント・消防・衛生基準の違い
旅館業では、原則としてフロント設備が必要であり、消防設備や衛生管理体制も民泊よりはるかに厳格です。
民泊は最小限の設備でも届出可能ですが、旅館業では火災報知器・避難経路・防火扉など、法令に準じた消防設備の設置が必須となります。
また、宿泊者名簿の管理や寝具の消毒、清掃記録など、運営後の維持管理体制も旅館業では求められます。
無人運営を希望する場合も、ICTでのフロント代替や駆け付け体制が条件となり、自治体ごとの規定に従う必要があります。
4.初期費用・運営体制の違い
民泊は少ない資金で始めやすいのに対し、旅館業は設備改修や申請費などで初期費用が大きくなります。
例えば、フロント設置や消防対策の強化、用途変更のための工事などが必要になり、数百万円規模の予算が必要になるケースもあります。
また、民泊はオーナー一人でも運営しやすいですが、旅館業ではスタッフの配置や管理体制の構築が求められます。
その分、サービスの幅や顧客満足度を高めることができ、収益の安定性にもつながるという大きなメリットがあります。
旅館業の種類と自分に合った選び方
旅館業には「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所」など複数の区分があり、それぞれ許可基準や運営スタイルが異なります。
ここでは、旅館業を始めるにあたって知っておくべき種類の違いと、初心者でも取り組みやすい営業形態、そして施設に合った選び方のポイントをわかりやすく解説します。
1.ホテル営業・旅館営業・簡易宿所の違い
旅館業には3つの主要な区分があり、それぞれに設備基準や営業スタイルの違いがあります。以下の表で特徴を整理しましょう。
| 営業種別 | 特徴 | 主な要件 |
|---|---|---|
| ホテル営業 | 洋式で客室ごとにバス・トイレ完備 | フロント設置、個室、9㎡以上の客室 |
| 旅館営業 | 和風の内装やサービスを基本とする | 畳敷きや和食の提供を想定、個室制 |
| 簡易宿所営業 | ゲストハウスやドミトリー型施設 | 相部屋OK、最低客室面積7㎡、共用可 |
これらの区分は施設の規模やコンセプトに応じて選ぶ必要があります。初心者の方や民泊施設を活用したい方は、次の「簡易宿所」が特におすすめです。
2.一番切り替えやすいのは「簡易宿所」
旅館業の中で最も切り替えやすいのが「簡易宿所営業」です。
簡易宿所は、相部屋(ドミトリー)や共用設備を許容しているため、既存の民泊物件を活用しやすい点が大きな特徴です。
また、個室でなくてもよく、浴室・トイレなども共用可のため、施設改修にかかる費用が比較的抑えられます。
特にゲストハウスや古民家再生を考えている方、費用を抑えて旅館業に参入したい方には最適な選択肢といえるでしょう。
3.自分の施設・運営方針に合う旅館業種の選び方
旅館業の区分は「施設の設備状況」と「どんな運営をしたいか」によって最適なものを選ぶことが大切です。
例えば、全室個室でバス・トイレ完備、かつインバウンドや観光客を多く受け入れたいなら「ホテル営業」が向いています。
一方で、和の雰囲気を活かし、料理や地域文化も提供したいなら「旅館営業」がおすすめです。
また、小規模で手軽に始めたい・改修費用を抑えたいなら「簡易宿所」がベストです。
まずは現在の施設スペックを確認し、それに合った業態から無理なく始めるのが成功のカギです。
【完全版】民泊から旅館業へ切り替える手続きの流れ
旅館業への切り替えは、民泊の届出と違って、複数の手続きと設備基準をクリアする必要があります。
ここでは、実際に必要なステップを【全8工程】に分けて、わかりやすく解説します。
順番を守って対応することで、トラブルや無駄な改修費用を避けられるので、事前に流れをしっかり把握しておきましょう。
1.事前相談(保健所・消防・建築課)
最初のステップは「必ず自治体に事前相談すること」です。
特に、保健所(旅館業の所管)、消防署(設備や避難計画)、建築課(用途地域や建築確認)に相談することで、自分の物件が旅館業に転用できるかどうかの判断がつきます。
事前相談で得られるアドバイスや必要書類のリストをもとに、具体的な準備を進めましょう。相談せずに工事を進めると、後からやり直しになるケースもあるので要注意です。
2.必要書類の準備
旅館業許可の申請には、多数の書類を揃える必要があります。
代表的なものは、以下のとおりです:
- 建物の配置図・平面図・立面図
- 設備の配置図(電気・水道・換気など)
- 建物登記簿、使用承諾書(賃貸の場合)
- 衛生管理・清掃計画書、宿泊約款
- 本人確認書類や営業者情報
これらの書類は、自治体によってフォーマットや必要内容が異なることがあるため、必ず事前相談でチェックリストを入手しましょう。
3.施設の基準適合(構造・消防・衛生)
旅館業では、施設が「構造」「消防」「衛生」3つの基準をすべて満たす必要があります。
主なチェックポイントは以下の通りです:
- 床面積や採光・換気条件
- トイレ・浴室・洗面設備の数と衛生状態
- 火災報知器・避難経路・防火扉の設置
- 宿泊者名簿の記録・保存体制
現地調査で不備があると、是正命令が出される可能性があります。改修が必要な場合は、事前に建築士や消防設備士と連携して準備を進めましょう。
4.用途変更(200㎡以上は建築確認申請)
建物の延床面積が200㎡を超える場合、「建物用途変更」のために建築確認申請が必要になります。
民泊は「住宅用途」で認められていますが、旅館業は「旅館・ホテル用途」への変更が求められます。
この変更には、図面の提出や、構造に関する確認、検査済証の有無の確認など、多くの手続きが伴います。
また、用途変更には1〜2ヶ月以上かかる場合があるため、スケジュールに余裕を持って対応しましょう。
5.旅館業許可申請の提出
書類と設備の準備が整ったら、いよいよ旅館業許可の申請を行います。
提出先は管轄の保健所で、必要書類をすべてそろえて提出します。
このとき、申請手数料(数万円程度)も必要です。
提出内容に不備があると差し戻しになるため、事前相談時にもらったチェックリストをもとに、慎重に確認してから提出しましょう。
6.現地調査と指摘対応
申請後は、保健所や消防署の担当者による「現地立入検査」が行われます。
この調査では、書類通りに施設が整備されているか、安全・衛生上の問題がないかを確認されます。
問題がなければそのまま許可に進みますが、不備が見つかると「是正指導」が入り、追加工事や書類の再提出が求められる場合があります。
スムーズに通過するためにも、事前準備をしっかり行っておくことが重要です。
7.許可証の交付と営業開始
現地調査を無事に通過すれば、数日〜数週間後に「旅館業許可証」が交付されます。
許可証を取得すれば、正式に旅館業として営業を開始できます。
このタイミングで、看板や予約サイト情報の更新、SNS・ホームページの運用など、集客面の施策も同時に進めておくと効果的です。
8.民泊の廃業届・OTA情報の切り替え
旅館業へ切り替えた後は、以前の「民泊届出」を正式に廃止する必要があります。
二重登録状態が続くと行政処分の対象になる可能性があるため、「廃業届」の提出を忘れずに行いましょう。
また、Airbnbなどの予約サイト(OTA)に掲載している場合は、「旅館業に切り替えた」旨の申請と、旅館業許可証のアップロードが必要です。
これを行わないと、掲載停止やアカウント凍結のリスクがあるので要注意です。
切り替えにかかる費用・期間・注意点
旅館業への切り替えには、初期費用や手続きの期間、さらに自治体独自のルールなど、押さえるべきポイントがいくつもあります。
ここでは、費用の目安、かかる期間、資金調達の方法、そして見落とされがちな「上乗せ規制」について、初心者にもわかりやすく解説します。
1.初期費用の目安と内訳(改修・申請・設備)
旅館業に切り替えるには、一般的に50万〜300万円程度の初期費用がかかると言われています。
内訳の例は以下のとおりです。
- 改修費用:フロント設備、防火扉、客室改装など(30〜150万円)
- 消防設備費:火災報知器、避難誘導灯、消火器など(10〜50万円)
- 設計・図面作成費:建築士・行政書士への依頼料(5〜20万円)
- 申請手数料:旅館業許可、建築確認など(2〜5万円)
物件の規模や状態によって差があるため、現地調査をもとに正確な見積もりを取ることが大切です。
2.平均期間はどれくらいかかる?
旅館業への切り替えにかかる期間は、スムーズに進めば2〜3ヶ月が目安ですが、条件によっては6ヶ月以上かかることもあります。
特に「用途変更が必要」「建物に検査済証がない」「消防指摘が入った」などのケースでは、工程が増える分だけ期間も延びます。
また、自治体によって審査のスピードが異なるため、事前相談でスケジュール感を確認しておくと安心です。
3.資金調達の方法(融資・補助金)
資金調達には、日本政策金融公庫や地域の信用金庫が提供する設備資金・創業資金の活用が有効です。
また、地域によっては「空き家活用補助金」や「インバウンド対応支援事業」などの制度があり、最大100万円以上の補助金を受け取れることもあります。
融資・補助金の多くは事前申請が必須なので、切り替えを検討し始めた段階で自治体や金融機関に相談しましょう。
行政書士や認定支援機関と連携することで、採択率を高めることもできます。
4.自治体ごとの「上乗せ規制」に要注意
旅館業は国の法律だけでなく、各自治体が定める独自ルール(上乗せ規制)にも従う必要があります。
たとえば、以下のような規制があります。
- 新宿区:マンションの共用部分を通る施設は不可
- 台東区:スタッフの常駐義務あり
- 京都市:駆け付け要件(10分以内に対応可能な管理者が必要)
- 武蔵野市:住民説明会の実施が義務
物件がどのルールに該当するかは、自治体の条例や事前相談で確認が必要です。
国基準だけで判断すると、許可が下りないケースもあるため、十分に注意しましょう。
切り替えに失敗しないためのチェックリスト8選
旅館業への切り替えは、制度や設備に関する条件を一つでも見落とすと、許可が下りずに時間や費用を無駄にしてしまいます。
ここでは、事前に必ず確認すべき8つの重要チェックポイントをまとめました。
事前確認ができれば、失敗リスクを大きく減らすことができます。
1.用途地域は旅館業OKか?
まず最初に確認すべきは、「物件が旅館業の営業可能な用途地域にあるかどうか」です。
都市計画法により、住居専用地域や工業専用地域では旅館業が制限・禁止されていることがあります。
用途地域は市区町村の都市計画図や建築課で確認できます。
該当しない地域では、そもそも申請すらできませんので、最優先でチェックしましょう。
2.建築用途は住宅ではないか?
建物の登記上の「用途」が「住宅」になっている場合、旅館業を営むには「旅館・ホテル用途」への変更が必要です。
住宅用途のまま営業すると違法となり、行政処分の対象になる可能性があります。
特に古い建物は、用途変更に構造的な制約があることもあるため、建築士などの専門家と確認することをおすすめします。
3.200㎡超なら建築確認申請が必要か?
延床面積が200㎡を超える建物で旅館業に切り替える場合、「用途変更」のための建築確認申請が必要です。
この申請には図面の作成や構造検討が必要になり、通常1〜2ヶ月以上かかることもあります。
確認申請が不要な場合でも、「検査済証」の有無など、建築法令上の制限があるため、事前に建築課で確認しましょう。
4.消防設備は旅館基準に達しているか?
旅館業では、宿泊者の安全を守るため、民泊よりも厳格な消防設備基準が求められます。
主な設備には以下が含まれます。
- 自動火災報知設備(感知器)
- 避難誘導灯・非常用照明
- 消火器の設置
- 非常口の確保と表示
地域や建物の規模により必要な設備が異なるため、消防署の事前相談は必須です。
5.フロント設置 or ICT代替は可能か?
旅館業では、原則として「受付(フロント)」の設置が求められますが、ICT(タブレット・スマートロックなど)による無人対応が認められるケースもあります。
ただし、これには「客室数10室未満」や「すぐに駆けつけられる管理体制」など条件があるため注意が必要です。
ICT導入を前提とするなら、自治体に具体的な運用方法を説明し、許可されるかどうかを確認しておきましょう。
6.近隣住民説明の義務は?
一部の自治体では、旅館業を始める前に「近隣住民への説明会」や「事前通知」が義務付けられている場合があります。
特に住宅街に立地している物件では、住民からの苦情リスクを減らすためにも、丁寧な説明と関係構築が重要です。
自治体によっては、説明義務がない代わりに「管理者の常駐」や「掲示義務」が課されることもあるため、必ず自治体の条例を確認しましょう。
7.自治体の条例や「駆け付け要件」は?
旅館業許可においては、自治体が独自に定める「上乗せ規制」があることが多く、中でも注意が必要なのが「駆け付け要件」です。
たとえば「トラブル時に10分以内で現場に駆け付けられる体制」を求める自治体もあり、遠方に住むオーナーの場合は代行業者との連携が必須です。
他にも「管理者の常駐」「夜間対応」など、自治体ごとの細かい規定を見落とさないよう、事前に確認しましょう。
8.民泊届出の廃止は忘れていないか?
旅館業への切り替え後も、以前の民泊届出をそのまま放置していると、行政からの指導対象になる恐れがあります。
民泊の届出は「廃止届出」を出さない限り、登録状態が継続し、二重登録や法令違反とみなされる場合があります。
切り替え後は速やかに民泊の廃止手続きも済ませ、OTAの情報も更新しておくことで、法的リスクを未然に防げます。
実際の成功事例・失敗事例から学ぶポイント
旅館業への切り替えにはメリットも多い一方で、準備不足や制度理解の浅さから失敗してしまうケースもあります。
ここでは、実際にあった成功事例と失敗事例を紹介しながら、うまくいくためのポイントを学びましょう。
1.成功事例:古民家リノベで簡易宿所化(京都)
京都市内の築80年の古民家をリノベーションし、「簡易宿所」として旅館業に切り替えた事例です。
もともと民泊として短期的に運営していた物件を、和モダンな内装に改修し、地域の文化体験も提供できる施設に進化させました。
旅館業許可取得後はOTAにも掲載でき、外国人観光客から高評価を獲得。
地元の特産品や体験イベントを組み合わせることで、差別化とリピーター獲得にも成功しています。
2.失敗事例:用途変更できず断念(地方都市)
地方都市で民泊運営をしていたオーナーが、旅館業への切り替えを目指したものの、「建物の用途変更が困難」で断念した事例です。
物件が市街化調整区域にあり、そもそも旅館業の用途に対応していなかったことが原因でした。
事前に用途地域や建築法上の制限を調べていれば防げた失敗で、「事前相談をせずに工事を進めた」点が大きなリスクとなりました。
この事例は、事前調査と行政への相談の重要性を強く物語っています。
3.SNS集客とOTA併用で収益増(大阪)
大阪市内で民泊を運営していたオーナーが、旅館業に切り替えたことでOTA(楽天トラベル・じゃらん)への掲載が可能となり、集客チャネルが大幅に拡大しました。
さらにInstagramを活用したSNSマーケティングも取り入れ、フォロワーとの交流や写真投稿キャンペーンを通じて認知度をアップ。
宿泊客の約30%がSNS経由という状況にまで成長し、稼働率も切り替え前の1.5倍に向上しました。
この事例は、マーケティング施策との掛け合わせによる旅館業化の相乗効果を示しています。
旅館業への切り替えに向いている人・向かない人
旅館業への切り替えはすべての民泊オーナーに最適とは限りません。
ここでは「向いている人」「慎重に考えるべき人」の特徴を整理し、自分に合った判断ができるように解説します。
1.長期で安定経営を目指すなら「向いている」
旅館業は、長期的かつ安定的に宿泊事業を続けたい人に向いています。
通年営業が可能なうえ、法律上の信用も高まり、OTAや法人契約のような安定収益源を確保しやすくなります。
将来的に複数物件を展開したい、ブランディングを強化したい、といった中長期的な視点を持つ方には最適な選択肢です。
2.低コストで柔軟に運営したいなら慎重に
初期費用を抑えて副業的に運営したい方にとっては、旅館業はややハードルが高いかもしれません。
旅館業には設備投資や許可申請、スタッフ体制などコストと管理の手間がかかります。
最低限の設備で自分一人で完結したい人や、短期運用を目的としている人は、慎重に検討することが必要です。
3.収益を最大化したいなら切り替えは有力手段
収益性を追求したいなら、旅館業への切り替えは非常に有力な戦略です。
民泊と違って営業制限がなく、OTAでの露出拡大や法人顧客の取り込みも可能になるため、客単価や稼働率の向上が見込めます。
特に、施設に「魅力」や「差別化ポイント」がある場合は、切り替えによってその価値を最大化できるでしょう。
旅館業への切り替えでよくある質問(FAQ)
ここでは、実際に民泊から旅館業に切り替える際に、よく寄せられる質問をまとめました。
不安や疑問を事前に解消しておくことで、スムーズに準備・申請を進めることができます。
1.フロント設置は必須?無人運営はできる?
原則として旅館業では「受付(フロント)」の設置が求められますが、小規模施設であればICTによる無人運営も可能です。
ただし、自治体によっては「宿泊者との対面確認」や「緊急時の駆け付け体制」が必須となる場合があります。
事前に導入予定のシステムや運用方法を説明し、各自治体の判断を仰ぐことが大切です。
2.借家やマンションでも切り替え可能?
借家やマンションでも、旅館業に切り替えることは可能ですが、条件が多くなります。
物件オーナーからの「使用承諾書」が必要なだけでなく、マンションの場合は管理規約で旅館業が禁止されていることもあります。
まずは「契約内容」と「建物の管理規約・使用用途」をしっかり確認し、可能かどうかを判断しましょう。
3.保健所と消防、どちらから先に相談する?
どちらでも構いませんが、まずは保健所から相談するのがおすすめです。
旅館業許可の主な所管は保健所なので、施設が旅館業に適合するかを最初に判断してもらうのがスムーズです。
その後、消防署や建築課に相談して、それぞれの基準に問題がないか確認していきましょう。
4.用途変更って実際どれくらい大変?
用途変更は図面作成や建築確認申請が必要なため、時間と費用がかかる工程です。
特に200㎡を超える物件の場合は、建築士に依頼して法的に適合する設計図を用意する必要があり、1〜2ヶ月以上の準備期間を見ておいた方が安心です。
ただし、建物の構造や立地によっては比較的スムーズに進むこともあるため、まずは専門家に相談するのが確実です。
5.小規模物件でも切り替えメリットある?
はい、特に「簡易宿所」なら小規模物件でも十分にメリットがあります。
1〜3室の小規模な施設であっても、旅館業に切り替えることで180日制限から解放され、通年で収益化できるようになります。
OTAへの掲載や法人利用も可能になり、小規模でも「本格的な宿泊施設」として運営できる点が魅力です。
まとめ|民泊から旅館業への切り替えは計画がカギ
民泊から旅館業への切り替えは、営業日数の制限をなくし、信頼性や収益性を高められる大きなチャンスです。
ただし、設備・法令・地域ルールなど、多くの条件をクリアしなければならず、しっかりとした準備と計画が不可欠です。
本記事で紹介したように、用途地域の確認や事前相談、書類準備、改修工事などを段階的に進めていけば、無駄な出費や申請の失敗を防ぐことができます。
特に「簡易宿所」は初心者にも始めやすい旅館業の形態で、小規模施設の有効活用にもおすすめです。
まずは保健所・消防への事前相談からスタートし、自分の施設と目的に合った最適な方法で旅館業許可を目指しましょう。