新宿区の民泊上乗せ条例の内容とは?営業日数などの規制・制限を解説
新宿区で民泊を始めるなら、国の法律だけでなく「新宿区独自のルール(上乗せ条例)」にも注意が必要です。
この記事では、初心者の方でもわかりやすいように、民泊新法と上乗せ条例の違い、営業日数やエリアの制限などを具体的に解説します。
事前に知っておくことで、失敗を避け、よりスムーズに民泊運営をスタートできます。
目次
そもそも住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?
民泊を合法的に行うためには、まず「住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)」を理解する必要があります。
この法律により、届出をすれば年間180日以内で住宅を宿泊施設として提供することが可能になります。
旅館業法のような厳しい許認可は不要で、比較的簡単に始められる点が魅力です。
ただし、180日という営業日数の上限や、衛生・安全基準の順守が求められる点には注意が必要です。
新宿区の上乗せ条例とは?平日営業が制限されるルール

新宿区で民泊をする場合は、国の「民泊新法」だけでなく、新宿区独自の「上乗せ条例」も守る必要があります。
民泊は、年間で最大180日まで営業できると決められていますが、新宿区の住居専用地域では制限があります。
新宿区の住居専用地域では、平日は営業できず、週末(金曜の昼12時から月曜の昼12時まで)だけ営業ができます。
つまり、実質的に稼働できる日数が100日前後に減ることもあります。
一方、商業地域や準工業地域ではこの制限はなく、180日フルで営業できます。
民泊の収益性に大きく関わるため、物件の用途地域を確認することが極めて重要です。
営業できる用途地域とできない地域の違い
民泊が自由に営業できるかどうかは、「用途地域」で決まります。
以下のように分かれています。
| 用途地域 | 営業の可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 商業地域 | ○ | 制限なし。180日営業可 |
| 準工業・近隣商業地域 | ○ | 制限なし。民泊向き |
| 住居専用地域 | △ | 平日営業NG。週末のみ営業可 |
新宿区で民泊を始める前に確認すべきエリア区分

民泊運営で失敗しないためには、物件がある場所の「用途地域」を必ずチェックする必要があります。
新宿区は地域ごとの性質が混在しており、何となくの印象で判断するのは危険です。
用途地域別|民泊ができる場所・できない場所
新宿区は、商業・住宅・工業エリアが混在する都市です。
一見、駅から近い便利なエリアでも、実は「住居専用地域」だったというケースもあります。
民泊可能な地域かどうかは、都市計画図や不動産会社からの確認が確実です。
知らずに制限地域を選んでしまうと、営業停止や届出不可のリスクもあるので要注意です。
住居専用地域は意外と多い?物件選びの落とし穴
実は、新宿区の中でも住居専用地域が占める割合は想像以上に多いです。
とくに静かな住宅街や低層エリアは、ほとんどがこの住居専用地域にあたります。
「このエリアならいけそう」と思っても、実際には平日営業できないケースが多数あります。
事前に用途地域をしっかり調査してから物件を選ぶことが、トラブルを避ける鍵です。
実際の新宿区の民泊市場データをチェック

新宿区で民泊を運営するなら、競合状況や宿泊単価、人気エリアといった「実際の数字や傾向」を把握しておくことが不可欠です。
ここでは、2025年時点での新宿区の民泊市場の実態を詳しく見ていきましょう。
1.新宿区の民泊物件数と競合状況(2025年時点)
2025年現在、新宿区には約1,500件の民泊物件が存在しています。
その99%が「1ベッドルーム」構成で、少人数向けの物件が主流です。
加えて、新宿区内には約200件のホテルもあり、宿泊施設全体としての競合は激しいエリアです。
民泊を始める際には、物件の立地や付加価値による差別化戦略が必須になります。
2.平均宿泊単価・稼働率などの収益性
新宿区の平均宿泊単価は17,900円で、東京23区の中でもやや高めです。
特に春(3月)は21,700円と高騰し、需要が集中します。
一方でオフシーズンの9月は14,000円台まで下がるため、料金調整が重要です。
平均稼働率は81%と非常に高く、ピーク時は86.8%(3月)を記録しています。
宿泊日数の平均は3〜4日と短期傾向にありますが、欧米圏の旅行者は比較的長めに滞在する傾向があります。
3.民泊に向いている観光エリアと需要マップ
新宿区内でも特にインバウンド需要が高いエリアは以下の通りです。
- 新宿御苑:桜シーズンに特に人気。自然と静けさを求める層に好まれる。
- 花園神社:日本文化を体験できる神社。季節イベント時は短期滞在ニーズ増。
- 明治神宮外苑:自然+スポーツ+文化の組み合わせで長期滞在とも相性◎。
- 新大久保:韓国カルチャーやアジア文化が人気。若年層の短期旅行者に好まれる。
- ゴールデン街:欧米観光客に特に人気。夜間活動型の観光に対応する立地が強み。
これらのエリア周辺に民泊物件を構えることで、安定した集客が見込めます。
他の東京23区との民泊条例の比較
ここでは、他の東京23区と新宿区の民泊条例の比較をしていきます。
なお、東京23区の上乗せ条例に関しては「民泊の上乗せ条例とは?【2025年最新版】東京23区の制限内容と対応策を徹底解説」の記事をご覧ください。
1.渋谷区・台東区などとの上乗せ条例比較
東京23区では、民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき、各区が独自の「上乗せ条例」を制定しています。
例えば、渋谷区や世田谷区では「住居専用地域」での民泊を完全に禁止しており、営業自体ができません。
一方、新宿区や台東区は平日制限型で、週末(金曜正午〜月曜正午)のみ営業可能という形をとっています。
新宿区は営業はできるものの、制限は強めです。
2.新宿区の条例は厳しい?緩い?
新宿区の上乗せ条例は、「住居専用地域での平日営業禁止」という中間的な厳しさです。
完全禁止の区と比べれば運営しやすいものの、実質的に営業日数は100日前後に制限されるため、収益化にはハードルがあります。
ただし、商業地域・準工業地域なら年180日まで営業可能なため、エリア選定次第で柔軟に運用可能です。
3.今後の法改正・動向にも要注意
2025年時点では大きな法改正はありませんが、インバウンド需要の急回復や、地域住民とのトラブル増加により、各自治体の条例見直しや規制強化の可能性があります。
特に、住居専用地域における稼働や管理体制の強化が今後の論点となるため、運営者は常に最新の条例や制度動向をチェックする必要があります。
新宿区で民泊を成功させるためのポイント

ここでは、新宿区で民泊を成功させるためのポイントをいくつかご紹介します。
1.商業地域・準工業地域を狙った物件探し
新宿区で民泊を成功させたいなら、用途地域の確認が最重要です。
商業地域・準工業地域であれば、年間180日フルで営業可能なため、収益性が高まります。
物件選定の際は「用途地域図」を確認し、住居専用地域を避けることが成功の第一歩です。
2.価格調整と収益シミュレーションを行う
新宿区の平均宿泊単価は17,900円で、シーズンによって大きく変動します。
3月は2万1,700円まで上がる一方、9月は1万4,000円台まで下がることも。
こうしたデータをもとに稼働率×単価=売上のシミュレーションを行い、価格戦略を柔軟に組むことが安定運営に直結します。
3.物件の差別化(インテリア・清潔感・Wi-Fiなど)を図る
競合が多い新宿区では、「選ばれる理由」を作ることが重要です。
特に清潔感・統一感のあるインテリア・高速Wi-Fiは必須条件です。
また、ビジネス利用を意識したワークスペースの設置や、観光ガイドの設置など体験価値を高める工夫も差別化に繋がります。
4.多言語対応とインバウンド戦略を立てる
新宿区は外国人観光客の訪問率が極めて高いエリアです。
ハウスルール・案内・緊急対応を英語や中国語で整備しておくことで、レビューや満足度にも大きく影響します。
また、チェックイン時にローカルなおすすめスポットを伝えるなど、「ホスト体験の質」を上げる施策も評価されやすいポイントです。
【FAQ】新宿区の民泊条例に関するよくある質問

Q1:住居専用地域かどうかの調べ方は?
結論から言うと、新宿区の「用途地域図」で簡単に確認できます。
新宿区の都市計画課が公開している用途地域マップや「新宿区地図情報サービス」で、住所を入力するだけでその地域が「住居専用地域」「商業地域」「準工業地域」などに分類されているかを調べることが可能です。
民泊営業の可否はこの用途地域に大きく左右されるため、必ず事前に確認してから物件を選びましょう。
Q2:週末しか営業できないのに民泊は儲かる?
儲かる可能性はありますが、戦略次第で大きく変わります。
住居専用地域では週末(金曜正午〜月曜正午)のみ営業可能なため、年間営業可能日は約100日前後。
この短い営業期間で収益を確保するには、宿泊単価を高く設定できる立地・インテリア・レビュー品質が重要になります。
ただし、商業地域や準工業地域を選べば年間180日営業可能なので、より安定した収益を狙いたい方にはこちらを推奨します。
Q3:旅館業法との違いは?どっちが良い?
「民泊」は住宅宿泊事業法(民泊新法)、「旅館業」は旅館業法に基づきます。
大きな違いは、営業日数の上限と設備・構造の要件です。
民泊は年間180日までしか営業できませんが、旅館業(簡易宿所など)は365日営業可能。
ただし、消防設備や構造要件、フロントの設置義務などが厳しく、個人ではハードルが高いことも。
短期的に低コストで始めたいなら民泊、長期運営を目指すなら旅館業許可が向いています。
まとめ|上乗せ条例を理解すれば新宿でも民泊は十分成功できる
新宿区の民泊条例はたしかに一部地域で営業制限があるため、他区と比べて難しく感じるかもしれません。
しかし、用途地域を正しく把握し、戦略的に立地を選べば営業日数制限を回避できます。
また、新宿区は都内屈指の観光・ビジネス需要を誇る地域であり、宿泊ニーズは常に高めです。
制限を逆手に取り、価格設計・物件差別化・多言語対応などで質の高い民泊運営を目指せば、十分に成功が可能です。
まずは正確な条例理解とマーケットの把握から始めていきましょう。
